内容説明
『変身』のグレーゴル・ザムザは虫になっても本人のままなのか。『罪と罰』のラスコーリニコフはなぜ老婆を殺して罪悪感を覚えたのか。自己同一性や道徳の起源など人類永遠のテーマについて著名な哲学者や思想家が答えを出してきた。それは現代自然科学からみたときどれくらい正しいのか。スウェーデンの新鋭が読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
特盛
19
評価4.5/5。近代始めまでの哲学/思想史を進化学者の視点で振り返る。世界を語る時、近頃人文学者は科学に気後れして、言語や社会/人類学的分析と思惟に閉じこもる印象を受ける。分断は益々大きく見えるが、本書は科学者サイドからそれを埋める試みで新鮮だ。曰く。人生の意味は偶然性と進化で獲得した退屈を感じる機能に発し、自己同一性は変化し続ける生物においては定義も困難な幻想である。道徳も同情と公平感という共同体維持の機能だと切る。國分功一郎の暇と退屈の倫理学が面白かったのもあり、退屈という概念にさらに興味深々だ2024/03/07
y
1
面白かったのですが、何故かすんなり頭に入ってこなかったです。 哲学をちゃんと学んでないので、取り上げられている哲学者の論が本書に書いてある通りなのかなと疑問が生じ、原典に当たりたくなるのですが、そんなことしていたら永遠に読み終わらないので、モヤモヤしながら読み進めました。 哲学用語(特にカタカナ)の解説があるとありがたかったです。2024/03/16