内容説明
著者の映画作品『プリズン・サークル』は、日本で1か所だけ、刑務所の中で行われているTC(回復共同体)という対話による更生プログラムを、20代の受刑者4人を中心に2年間記録したドキュメンタリー。本書はこの映画を手がかりに、著者と10代の若者たちがサークル(円座になって自らを語りあう)を行った記録。映画に登場する元受刑者の2人や、犯罪被害の当事者をゲストに迎え「被害と加害のあいだ」をテーマに語りあう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
78
『プリズン・サークル』のドキュメンタリー作家の坂上さんと中学生から大学生までの4人の若者たちが、犯罪加害者・被害者を交えて行った対話の記録。島根あさひ社会復帰促進センターにあるTC(セラピューティック・コミュニティ回復共同体)の実践、エモーショナル・リテラシー(感識)、修復的司法の紹介もあり、「根っからの悪人っているの?」のテーマに、根っからの悪人にさせない方法はあるはずと、最後の対話に至る。→2024/06/03
Kurara
48
★3.5 10代の元受刑者と犯罪について討論する。話を聞く側も10代だし。10代ってまだまだ成長段階。義務教育での教育をまともに受けてない子もいる。そんな子が加害者になる確率は高くなる一方だと思う。西鉄バスジャック事件の加害者よりひどい環境で育っている子は日本中にたくさんいる気がする。未来の日本が怖いと感じた。 #NetGalleyJP2023/12/15
香菜子(かなこ・Kanako)
26
根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ。坂上 香先生の著書。根っからの悪人っているの?きっと誰もが一度は持ったことがある疑問。私は根っからの悪人はいないと信じている。根っからの悪人がいたとしたら根っからの悪人として生まれてしまったら夢も希望もない。自分以外の誰かを根っからの悪人と上から目線で断定して恨んだり蔑んだりそんな資格は誰にもない。根っからの善人もきっといない。根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだを読んでもう一度真剣に考えてみる価値がある問題。2024/05/01
joyjoy
21
まさに「あいだで考える」。タイトルのテーマについて、10代の若者と被害者側・加害者側の当事者との対話を通して考えるという方法を思いついたのは、著者ならではと感じた。若いひとたちが自分自身の経験や対話のなかで感じたことを懸命に語る、その言葉は新鮮で、わたし自身も揺れる。ゲストの被害者側、加害者側の方たちの語りも、活字になった言葉をとおしてでも、彼らの人生の濃度、そのグラデーションまで感じられるようだった。自分もまた「あいだで考え」させてもらった。このような対話の場、サンクチュアリをもっと作っていきたいね。2024/01/04
ズー
15
前にプリズンサークルを読んで、こんなかたちの刑務所があるのか!とびっくりし、たしかに刑罰よりも、更生を目指した方がいいよねと思ったりしたんだけど。今回のこのタイトルからして読みたいと思い。ほんとたまに友達ともこうゆう話題になるんだけど、生まれたての赤ちゃんは悪意を持って生まれてこないよね?って。そこからいろんな影響を受けて、悪くなってしまったりするわけで。加害者被害者のリアルな話が聞けた。その場にいた学生さんたちの賢さのレベルにもびっくり。すごい理解力・語彙力であった。2023/11/18
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