ろくでなしのロシア─プーチンとロシア正教

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ろくでなしのロシア─プーチンとロシア正教

  • 著者名:中村逸郎【著】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 講談社(2023/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784062181723

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内容説明

欧米諸国はロシアの将来のモデルにはなりえない! 復権著しいロシア正教会と大統領プーチンの癒着と野合。その末に生まれた超権力の構造とはいかなるものなのか? 現地を縦横に歩いて観察し、混迷する社会のゆくえを展望した異色のロシア論。

●「宗教は、悩めるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」と若きマルクスが『ヘーゲル法哲学批判序説』で記したように、70年間の共産主義を捨て貧富の差が激化するロシアにおいて宗教の復興ぶりは著しいものがあります。
 一時はオウムなどの新興宗教が勢力を伸ばしましたが、いまは旧来のロシア正教会の力が復活しています。プーチンがロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋したり、ソ連邦時代に没収された財産を返還したりしたことによって、正教会は一種の財閥の観を呈しています。
 カトリックと違い、かつてのロシア正教においてはピョートル大帝以降、総主教が廃止され皇帝(ツァーリ)が教会の首長でありました(皇帝教皇主義)。それは英国国教会の首長がイギリス国王であること以上の強い権力であり、人民(ナロード)にとってツァーリは神でした。
 さて、なぜプーチンが正教会に対して融和的なのか……。すでに多くの教会ではプーチンを「聖人」とみなすイコンが掲げられはじめていると著者はいいます。その一方で強烈な反発も生じているとも。
 プーチンとロシア正教の癒着、野合。それはソ連邦時代の個人崇拝の流れを汲みながらも、よりロシアの「古層」に根ざした権力アプローチであり、西側や日本のインテリによる「民主化」必然論を容易には寄せつけないものでもありましょう。

目次

序 章  絶望のロシア社会
第1章  神権政治
第2章  “第三のローマ”復興のかげに
第3章  極東の愛国主義は高揚する
第4章  プーチンとは何者か
第5章  反プーチンの逆説
終 章  正教国家ロシアのゆくえ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ち~

38
先日のテレビで、中村逸郎さんのベラルーシについての解説が面白すぎて、コチラの本を借りてきました。原油の輸出等、ビジネスを拡大し続けるロシア正教。ロシア正教との癒着で神聖さをイメージ付けるプーチン。信仰心の厚い国民が信仰心と共に愛国心を高めていく。それらの結びつきで構成されるロシアの様子がよくわかる内容だった。「突如、姿を消したバス停について、どこに苦情を言えばいいか分からない」「幼稚園を管轄しているのが、自治体か市政府かチョコレート製造工場か分からない」そんなロシアは将来どのようになっていくのでしょうか。2020/09/07

Isamash

26
TVに良く出てる中村逸郎(筑波大教授)による2013年著作。プーチンがロシア国教会と個人的にしっかり癒着しているという内容。メドベージュ元大統領はそうでない様で、個人崇拝に結びつける戦略と見ている。まあ足を使って国教会関係者から直接情報を入手しているのがこの先生の真骨頂か。ロシアに関心寄せているが、宗教との関係性、情報統制、欧米への反感、近隣国への侵略、独裁者の存在、戦争の近代化不在、合理的な判断の欠如等、中国に侵略した大日本帝国と重なる部分が多くて驚いている。だとすると、ウクライナ侵略だけで止まらない?2022/08/01

中年サラリーマン

16
これ読んで一番びっくりしたのはロシア正教の教会にプーチンの肖像画がかざられているという事実。プーチンの聖人化かぁ。2013/11/04

昭和っ子

15
ロシア革命、共産主義下の宗教弾圧、ソ連の崩壊、ロシア正教会はそんな脅威に晒され続けながら「モスクワは第三のローマ」というプライドを秘めつつ苦労してきた。チェチェンのテロに対して強硬策で解決し、批判も浴びたプーチン氏の正当化に一役かった事で、様々な好遇を受けロシア内での地位を復活させた、らしい。人々の宗教心に訴えかけ国をまとめる役割の陰の、聖と俗とのバランスのせめぎ合い。でも、権力の伸張=戦争という発想しかない権力者と共にあることは間違いと言う事だったのだろうか。2022/04/03

ハルキゲニア

11
プーチン大統領をネタにしていた著者の話が面白くて、読みたいと思っていた本です。内容はとても真面目な内容で、プーチンがとても計算高くロシア国内外に影響力を増していったのがわかります。今回のウクライナ侵攻も計算のうちなのでしょうか。あんなに破壊された街を見て、何を思っているのでしょうか。2022/04/28

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