内容説明
「まぎれもない世紀末文学者の一人であろう。」澁澤龍彦
「文学の森には驚くほど美しい宝石が隠れている。」河村錠一郎
冴えない元聖職者志望が、突然「ローマ教皇」に――!?
屋根裏部屋で一匹の猫と暮らす中年作家ジョージ。聖職者を志すも夢破れた彼のもとに、ある日突然、枢機卿が訪れる。「あなたが教会での将来を断たれたのは誤りでした。」念願の神父となったジョージが、観光気分で教会選挙に沸くローマへ行くと、知らぬ間に教皇に選出されていた! 「ハドリアヌス七世」を自称したジョージは、型破りな〈宗教改革〉に乗り出し、謀略渦巻く教皇庁に大波乱を巻き起こす――! 澁澤龍彦も注目した、異形の英国世紀末作家による〈伝説的奇書〉にして破天荒な〈自伝的幻想小説〉が、遂に邦訳!!!
★栞エッセイ=河村錠一郎
・澁澤龍彦、生田耕作、丸谷才一、D・H・ロレンス、グレアム・グリーンらが注目・絶賛した「異形の英国世紀末作家」の代表作。
・河村錠一郎氏の紹介により、文学の「裏街道」読者に邦訳が待望されていた「幻の奇書」。
・造語や古語を鏤めた革新的で実験的な文学的手法を駆使した、英国モダニズム文学の正統な「古典的名著」。
・聖職者を志すも挫折した作家の男が書いた「作家が教皇に成り上がる物語」。いわば「100年前のなろう小説」。
・英ガーディアン紙「最高の英語小説100冊」選出。
・英国の名門ペーパーバック「ペンギン・クラシックス」所収。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイトKATE
16
初版本をに似せた金と黒の装丁がお洒落だったので手に取る。元聖職者で冴えない中年作家のジョージ・アーサー・ローズが突如、ローマ教皇に選出されハドリアヌス七世となる。序盤は面白く読めたが、ローマ・カトリック教会に関する知識の疎さと、ハドリアヌスが自分のことを「朕」と称することに違和感を覚えて面白く読めなかった。日本では、王など強大な権力者の一人称を「朕」や「余」と称すること対して、以前から私は不快感を感じる。「朕」、「余」は高貴な表現みたいだが、私には響きに滑稽さを感じてしまう。個人的な見解であるが。2024/10/05
rinakko
11
すこぶる面白かった。久しぶしに奇書を読んだという満足感。「澁澤龍彦が絶賛」というのもさもありなん…と思いつつ、訳者あとがきでかなり自伝的な内容と知って驚いた(そして19世紀末のロンドンに生まれた作者が、何故カトリック教会なのか…という理由にもw)。“人間嫌いの利他主義者” ジョージの半生がほぼ自伝であるなら、その後の型破り教皇爆誕からの展開が幻想文学…か。“教皇には大きな目標と、見通しのきく目と、よく聞える耳と、機知と、ひねくれた性格と、大胆さと、寂しい心とがある。おまけに世界から敵意を向けられていた。”2023/11/07
沙羅双樹
10
ローマ教皇とはいっても元は普通の人間である。普通といっても定義は色々あるが、いい意味で、カトリック聖職者の多面性を伺うことができた。私は、彼らが神、そしてキリストを信仰する反面「隣人を愛せよ」の「隣人」を愛せなくて葛藤する姿こそ、正直で、等身大で、奥ゆかしいと感じてしまう。帯に〈自伝的幻想小説〉とあるが読む人によってカテゴライズの仕方が変わってくるかな。読み応えがあるけど、ところどころ冗長さもあるので、読み手を選ぶ小説だと思う。2023/10/02
氷沼
3
D・H・ロレンスが「この小説はユイスマンスやワイルドの作品と違っていつまでも古くならないだろう」と絶賛し、澁澤龍彦が「まぎれもない世紀末文学者の一人であろう」と絶賛していたコルヴォー男爵ことロルフによる幻想的自伝小説。 コンクラーベの描写、後半、漁師の指輪を外しローズとなって枢機卿達の問いに答える描写、最後のイタリア訪問で運命の王子と再開しラストへと向かう場面など、構成もしっかりしている。 世紀末文学の一冊として、ユイスマンス、ワイルド、澁澤龍彦、生田耕作辺りが好きな人にはまさに必携の書である。2024/03/17
よだみな
1
荘厳な話かと思いきや、コミックノベルであった。ハドリアヌスこと、ジョージ・アーサー・ローズのキャラクター造詣が豊かなおかげでとてもたのしんで読んだ。翻訳もノリノリ。 さあ、ご一緒に祈りましょう!2025/03/29
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