内容説明
人の気持ちがわからない。人間に関心がない。コミュニケーションがとれない。勇太くんは、会話によって他人と信頼関係を築くことができない。それは母親に対しても
同じだ。でも母にとっては、明るく跳びはねている勇太くんこそが生きる希望だ。
幼児教育のプロとして活躍する母が世間一般の「理想の子育て」から自由になっていく軌跡を描いた渾身のルポルタージュ。子育てにおける「普通」という呪縛を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
28
夫は去り、実家からも疎まれ、誰一人手助けのない中で、産まれた子は自閉症。いつまで経っても、他の子のような反応を見せず、パニックを起こせば手に負えないほど大暴れ。はじめは「この子もう病院に置いて行っていいですか」と絶望の縁に追い込まれた母が、「この子で良かったのだ」と思えるまでの、気の遠くなるような道のりが克明に描かれ、心をえぐられるようだった。どの立場からよんでも、間違いなく「考えさせる本」である。2023/12/16
水色系
24
学生だったころ、とある精神的症状に人知れず悩んでいた折、医者にかかると自閉症スペクトラムの傾向があると言われたことがあった。何というか少し許されたと思った。自分のしんどさに名前があることに。そういう経緯があるので、本書は全く他人事ではない。ただ母親ならどうだろう。このお母さん、本当に悩んだのだろうなあ…。本題に迫れてないと言われるかもしれないが、私もお母さんありがとうと思った。ほんまにな。2023/12/18
よつば
12
母が子の障害を受け入れていく過程を、医師である著者が描くノンフィクション。決して綺麗事ではない。どの子にも、安心安全な心の基地が必要であることがヒシヒシと伝わる。そして普通と発達障害はまさにスペクトラム(連続体)。誰もがそのスペクトラムのどこかにいて、社会の壁にぶつかった時には生きづらさを感じることだろう。人ごとではない。ぜひ読んでみてください。2023/12/02
がみまぐ
3
『普通』ってなんだろう。2023/11/30
ShinzawaTaku
2
障害児とその母親の成長期。主題の一つが母親の「障害の受容」。壮絶な子育てを経て「受容」に至る過程は説得力がある。また、最近「多様性の尊重」という価値観がある一方、実は多くの親は子供に「普通」や「人並み」の人生を求めていると指摘。「普通」も「人並み」も備えていない障害児が「多様性の尊重」の恩恵も得ることのできない矛盾が浮かび上がる展開も興味深い。 発達障害に関心のある人、自分のように「よく分からなくて避けてきた人」は一読の価値ありかも。「障害の受容」が拡がれば、世の中少し住みやすくなるかもしれない。2023/12/01




