内容説明
17歳でフィレンツェに留学。極貧の画学生時代に食べたピッツァの味が、今でも忘れられない――。トマト大好きイタリア人、ピッツァにおける経済格差、世界一美味しい意外な日本の飲料など、「創造の原点」という食への渇望を、シャンパンから素 まで貴賤なく綴る。さらに世界の朝食や鍋料理、料理が苦手だった亡き母のアップルパイなど、食の記憶とともに溢れる人生のシーンを描き、「味覚の自由」を追求する至極のエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
228
ヤマザキ マリは、新作(但し、漫画以外)をコンスタントに読んでいる作家です。著者の食を巡るエッセイ集、確かにペペンロンチーノに1,500円も出してはいけません🍝 ヨーロッパの料理のスリートップは、イタリアン&スパニッシュ&フレンチだと思います。北欧系は下位に来ますが、当然ブービーメーカーはイギリスの料理です(笑) https://www.shinchosha.co.jp/book/611018/2024/01/18
ネギっ子gen
65
【私にとって美味しさとは、空腹と食欲という本能の容赦ないアグレッシブさがあってこそ、極みをもたらしてくれるもの】17歳でフィレンツェに留学した著者。食の記憶と共に人生と食の絡みを――。<貧乏だからといって、不味いものしか食べられない、ということはない。味覚というのは創造力の力を借りさえすれば、いかようにでも美味しさという幸福感を与えてくれる。イタリアでのド貧乏学生時代は、お金も食べるものも無くなり絶望的な状況に陥ったことが何度もあるが、そんな時にやっとありついた食事の美味しさだけは克明に覚えている>と。⇒2024/04/19
Nat
59
図書館本。食をテーマにしたエッセイ。イタリアでの生活やたまに日本を訪れるご主人のエピソードが楽しい。特に無類の栗好きのご主人が、栗饅の存在を知って虜になってしまう様子や、札幌で味噌ラーメンを食べた時にラーメンを啜る妻を見て驚愕する様子などが微笑ましい。前作の「パスタ嫌い」も是非読んでみたい。2024/04/14
minami
47
美味しかったものやあの人と一緒に食べたもの。食にまつわる記憶はその時の気持ちと一緒に心に残っていることが多いと思う。嬉しいことも悲しかったことも笑ったことも。ヤマザキさんは17才でイタリアに留学する。貧乏だった学生時代に食べたピッツァの味が忘れられないという。私の忘れられない味って何だろう。ヤマザキさんの思い出の味がこれでもかと繰り出されるたび、私も想像したり美味しそうと悶えたりしながら読んだ。なんてグローバルで好奇心旺盛な食欲なんだ!行動もそうだけれど、自由に味わい尽くす貪欲さは憧れるし元気をもらえる。2024/07/28
たまきら
46
新刊コーナーより。笑いっぱなし。アメリカの美大にいたとき基本仕送りだけの貧乏学生だった自分。そうそう、集まって食材持ち寄っておなかにたまるものを懸命に作ったものです。…お金持ちの友人にご馳走になったり、学校のカフェテリアのおばちゃまの慈愛にすがったり。かわいがってもらったなあ…。貧乏ネタを読みながら自分の学生時代と重ねちゃいました。養蜂もミツバチ好きには嬉しい話だったし。…そうそう、ルームメイトが韓国の子だった時は白ご飯にごま油と塩でおなかを満たしたんだった…。2023/12/24