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内容説明
トランシルヴァニア山中の城に潜んでいたドラキュラ伯爵は、獲物を求めて英国ロンドンへ向かう。嵐の中の帆船を意のままに操り、コウモリに姿を変えて忍び寄る魔の手から、ロンドン市民は逃れることができるのか。吸血鬼文学の不朽の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさ☆( ^ω^ )♬
11
創元文庫の平井呈一訳「ドラキュラ」を近年に読んだが、小さい字がびっしりかつ、少々古めの訳だったので苦戦した記憶がある。新訳が出たら再読しようと思っていたので丁度良かった。本編800頁弱の分厚さだったが、非常に読み易くて全く苦にならなかった。光文社古典新訳文庫では、吸血鬼文学が続々と刊行されているみたい。これは楽しみだ。次は、新訳で「カーミラ」を読みたい。解説も良くて、ドラキュラ伯爵は弱者であるとの考察には目から鱗だった。2023/10/31
ひでお
9
これだけ有名な作品にもかかわらず、これまで読んだことがありませんでした。書簡体小説であることも驚きでした。ホラーというには恐怖感はありませんでしたが、時代の違いなのでしょう。ただ、やはりキリスト教至上主義の片鱗が見えますし、ロマの人びとへの偏見もあるように見えました。あと、本書の翻訳はやや癖があるようにも思えました。とはいえ、スリルとサスペンスの詰まった作品で、深く読み解かずにわくわくする冒険に身を委ねるのが正しいのかもしれません。2024/03/15
ベック
4
ようやくこの聖典を読むことができた。こうして新訳で刊行してくださって、ありがとうございます。こんなに古い作品なのにまったく古びてなくて素晴らしくおもしろかった。日記や書簡で進められてゆくのがライブ感を盛り上げてよかったのだろう。先が見えない焦燥感をこちらも共有してハラハラした。2023/12/14
Reading Monster
3
ドラキュラ、吸血鬼を題材にして様々な作品が小説に限らず、映画、マンガとある中で、今更古臭いだろうと思っていたが、純粋に面白かった。古臭さは確かにあるが、悪い意味ではなくて、良い意味で。闇に暗躍する黴臭さすら身に纏ったドラキュラ伯爵の、本人にとっても人間社会での生き残りをかけた戦いは風格を伴ったエンターテイメントだった。 「本作を読まずに吸血鬼を語るなかれ」と云っておこう。2024/03/16
田中峰和
3
噛まれたら、感染してアンデッドになる設定は、60年代以降隆盛となるゾンビ映画に繋がる。19世紀末の話なので、輸血される設定も当時は血液型が発見されておらず、誰の血でも輸血してしまう乱暴さ。録音機もこの頃できたようで、時代が感じられる。ドラキュラの設定や弱点は後の映画に踏襲されるが、民間伝承が元になっている。八百頁の大ボリュームだが飽きさせず、一気読みしてしまった。最初の被害者ルーシーにプロポーズした3人は敵討ちのため、ヴァン・ヘルシングに協力しチームを組む。城に住む3人の女吸血鬼がマクベスの魔女みたい。2023/12/11