持続する郊外 - 住民主導のアーバニズム

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持続する郊外 - 住民主導のアーバニズム

  • ISBN:9784787235275

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内容説明

高度経済成長期に形成された東京都市圏の郊外社会――。当初は批判的に語られた郊外地域は、半世紀がたとうとする現在ではどのように成熟し、これからはどう変化していこうとしているのだろうか。

そして、郊外に暮らしてきた住民はまちづくりとどう関わり、高齢者はどのような生活を送り、これから迎えるポストコロナ期にライフスタイルはどう変貌するのか……。

東京都市圏の多摩丘陵に位置する川崎市麻生区をモデルに、住民へのインタビューやウェブ調査などをとおして、まちづくりのあり方や隠れた魅力、近隣の大学とコラボした文化活動、コロナ禍の影響などの郊外の実態を描き出す。

また、多摩ニュータウンなどの計画的に建設された郊外住宅地と異なり、麻生地域は個別開発の集合体として住民主導の草の根で建設されてきた。その歩みをたどることで、地域の人々の手によるまちづくりの格好の参考事例と今後のあり方を提示する。

川崎新都心街づくり財団と地元の複数の大学が協力して、多様な調査を元に郊外の持続型モデルを提言する貴重な成果。各自治体の関係部署、まちづくりを実践している市民やNPO、開発をサポートする企業などは必携の一冊。

目次

序 中島眞一

まえがき 平本一雄

第1部 郊外社会の持続型モデルを知る――麻生地域のケーススタディー

第1章 郊外と東京都市圏 平本一雄
 1 都市と郊外
 2 東京の都市圏形成

第2章 多摩丘陵の地域比較 平本一雄
 1 多摩丘陵の三つのベッドタウンを比較する
 2 多摩丘陵の三つの郊外地域を比較する

第3章 麻生地域の来し方 平本一雄
 1 農村の移り変わり
 2 住民が望んだ百合丘と新百合ヶ丘の開発
 3 湧き起こる文化活動と郊外社会
 4 住民主導の開発と生み出された地域社会

第4章 麻生地域持続の道筋 平本一雄
 1 住宅地は純化から多様化へ
 2 ハイブリッドのライフスタイル
 3 緑と歴史そしてアートのみち
 4 独自の芸術文化活動への挑戦
 5 商業環境の変化への対応
 6 AI時代に求められる多様な子育て
 7 寿命日本一の麻生区のさらなる高齢化対策

第5章 自立に向けてのアーバニズム 平本一雄
 1 自立する二十分生活圏
 2 都市―農村生態系ネットワーク
 3 特徴あるタウンセンターをどうつくるか
 4 住民主導で段階的な開発――住民がつくりつづけるまち

第2部 郊外社会の実態を麻生地域で調べる

第1章 市街地の形成と地域ルール 加藤仁美
 1 多摩丘陵の住宅都市・麻生区の誕生
 2 市街地整備と郊外戸建て住宅地の開発
 3 住宅地開発の経緯と住環境の保全
 4 郊外戸建て住宅地の住環境保全・管理と地域社会――ヒアリングとアンケート調査から
 コラム 地産地消のまち 平本一雄

第2章 ポストコロナの郊外ライフスタイル 林和眞
 1 コロナ禍による私たちの生活変化
 2 新百合ヶ丘での郊外ライフスタイルの変化
 3 ポストコロナ時代に求められる郊外生活様式
 4 テレワーク経験有無別の必要な都市機能
 5 持続する郊外をつくっていくために
 コラム 駅近サテライトオフィス 平本一雄

第3章 みどりの恵みのシナジーとその持続コスト 横田樹広
 1 麻生区の緑の恵みとそのパターン
 2 緑の恵みの維持にかかるコスト
 3 緑へのアクセス性と緑の恵みの認識
 コラム 自然を守る活動、里山フォーラムin麻生 石井よし子

第4章 市民が生み出した芸術文化のまち、その評価 藤田直哉/武濤京子
 1 新百合ヶ丘の芸術文化活動の概要
 2 新百合ヶ丘が芸術文化のまちになっていった経緯
 3 新百合ヶ丘の芸術文化活動の評価
 コラム オペラハウスと二つの文化村 平本一雄

第5章 居心地よく持続可能な郊外生活のための商業・サービス 渡辺達朗/神谷 渉/山崎万緋
 1 都市と商業・サービスとの関係を考える視点 渡辺達朗
 2 麻生区での商業集積の変化――二〇〇一年から二〇年 山崎万緋/渡辺達朗
 3 消費者からみた新百合ヶ丘地区の特徴分析 神谷 渉/渡辺達朗
 4 今後の展望 渡辺達朗/山崎万緋
 コラム おいしい、また行く個人オーナーの店 平本一雄

第6章 子ども・子育て支援の地域間比較 内藤知美/舟生直美/番匠一雅/仙田 考/安村清美/斉木美紀子
 1 地域の実情に応じた子ども・子育て支援とは 内藤知美
ほか

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