内容説明
埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は、昔気質の一匹狼の刑事である。有能だが、組織に迎合しない態度を疎まれ、所轄署をたらいまわしにされていた。久喜署に所属していたある日、何森は殺人事件の捜査に加わる。車椅子の娘と暮らす母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。階段を上がれない娘は大きな物音を聞いて怖くなり、ケースワーカーを呼んで通報してもらったのだという。県内で多発している窃盗事件との関連を疑う捜査本部の見立てに疑問を持った何森は、ひとり独自の捜査を始めていく――。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ第1弾。/【目次】二階の死体/灰色でなく/ロスト/あとがき/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちえ
34
デフ・ヴォイスシリーズからのスピンオフ。何森刑事が主人公の3編。時期も荒井が告発をした時期、何森が冷遇されている時期、荒井夫婦の死との子が4歳になっている時期と間がある。内容も障害や供述弱者、家族間の関係性など掘り下げられている。そして読むにつれ何森の中に抱えてきた問題があることが分かり、最後のそこに向きあい進んでいこうという姿には心が熱くなった。作者の本を読んでいつも思うのは、気が付かない知らないことがこれほどあるということ。とても良かった。2024/03/20
venturingbeyond
28
デフ・ヴォイスシリーズの名脇役・何森刑事を主人公とするスピンオフ作第1弾。不遇な中でも、自身の刑事としての矜持を決して失うことのない魅力的なこのベテラン刑事なら、主人公としてスピンオフを構想するのも納得。そしてこの魅力的な主人公が取り組む事件の舞台・人物設定は、丸山作品ならではのものとなっており、過去作同様、啓発的要素とエンターテイメント性がバランスよく同居するリーダーフレンドリーな一冊です。2024/03/27
ツバサ
13
デフ・ヴォイスシリーズに登場する何森さんのスピンオフ。待ってました。警察官として実力があっても群れないゆえに苦労する。覚悟あって人情味あるから非常に魅力的な人物です。短編2本、中編1本、障害が絡んだ事件になってました。最初の車椅子の女性の事件は真相まで頭を巡らせたが予想出来なかった。事件の余韻が中々離れ無かった。素晴らしい話でした。警察組織の歪さも描かれていて、何森さんだけでなくみゆきさん、荒井の存在も欠かせないです。何森シリーズも楽しみです。2023/12/04
うさぎや
6
「デフ・ヴォイス」スピンオフ第1弾。何森とみゆきがまさかのタッグ。意外といいコンビ。2024/03/21
オオイ
6
いつものように面白い。2023/12/21