河出文庫<br> こびとが打ち上げた小さなボール

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河出文庫
こびとが打ち上げた小さなボール

  • 著者名:チョ・セヒ【著】/斎藤真理子【訳】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 河出書房新社(2023/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 390pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309467849

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内容説明

韓国で300刷を超えるロングセラーにして、現代の作家たちから多大なリスペクトを受ける名作。急速な都市開発をめぐり、極限まで虐げられた者たちの、千年の怒りが渦巻く祈りの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

64
昨夜半近くに読了。なんとも云えないエネルギーが熱く、時に静かにマグマのようにゆっくり、しかし圧倒的なパワーで大地を焦がしていく。感想など、書けそうにない。年の最後に本作を読めて良かった。2024/12/31

ベル@bell-zou

33
"父さんの体が小さかったからといって、命の量まで少なかったわけがない。父さんは死ぬことによって、自分の体より大きかった苦痛から抜け出した。"。月の天文台で仕事をするいう大きな夢もその苦痛を和らげられなかった。他の誰かの嘆きや哀しみ、怒り。それらを踏み台にしながら無自覚でいるのは悪ではないが罪なのではないか。もしかしたら私自身も。ずっと読んでみたかった本。半世紀前とはいえ隣国のことと思えないほどの貧困と絶望的な格差が重苦しい。対して望みを託すような軽やかなタイトル。まさに"クラインのびん"。2023/07/17

ケイティ

26
独裁政権下の1970年代の韓国で加速した、都市開発と強制執行、自然破壊と劣悪な労働環境が主軸となった短編集、というか著者が発禁を恐れて少しずつ書き上げたという、壮大な長編のような連作。あとがきで齋藤さんも触れていたが、『苦海浄土』のように「蹴散らされた人びと」の声が降りてくる。経済成長に伴う代償というにはあまりにも非道。韓国の社会問題を扱った文学は数あれど、なぜここまで読まれてきたのか、この本が果たした役割の重みがのしかかる。同時に声を上げて闘い、抵抗する生き様の意味がそれ以上に響く作品だった。2025/10/29

ホシ

24
70年代の韓国。”こびと”は様々な仕事を渡り歩きながら「幸福洞(ヘンボクドン)」にあるスラム街に妻と3人の子供たちで暮らしていたが土地開発のために立ち退きを迫られることに。不遇の人生を甘受する”こびと”。そんな”こびと”を父に持つ長男のヨンスや”こびと”の家に入り浸っていたチソプは社会への抵抗をやめなかった。▽連作短編であることに加え、70年代の韓国の事情を知っていないと理解が難しいです。この国に滞在して長くなりますが、ちょっと分かりづらかった。まずは解説から読むことをおすすめします。2023/09/23

練りようかん

15
1970年代の都市開発を土台にした連作。経済的拷問、出ない水道と付け替えた蛇口、前2作は祖先から引き継いだ世代と将来の伸びしろを感じる若い世代があって、不条理に満ち満ちているけれど僅かな希望があるのではと思った。しかし抜け出せない展開でショッキングな言葉が飛び交う表題作に没入、読み進めるうちに教育格差が気になった。中学校が義務教育になったのは1984年。日本は大学や就職のため学歴競争するが韓国は人生のためなのかなと感じた。締め出されないための習熟。数学教師の教えがまさにメビウスの輪で、読後感を深めた。2025/03/09

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