文春e-book<br> 狙撃手の祈り

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文春e-book
狙撃手の祈り

  • 著者名:城山真一【著】
  • 価格 ¥1,800(本体¥1,637)
  • 文藝春秋(2023/10発売)
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  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163917665

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内容説明

離婚届を置いて失踪した妻、発見された銃弾、28年前の未解決事件。
平穏な生活が一変する秘密と嘘。

東京都北区十条で楽器店を営む青井圭一。
雑誌記者の妻・沙月とは取材がきっかけで知り合った。
ある夜、妻の沙月が圭一に差し出したのは離婚届だった。
明日から一週間取材に行くから、帰るまでに答えを出してほしい――。
確かに、圭一の友人のミュージシャンの不倫スキャンダルを
沙月がスクープしたことで、最近夫婦関係はぎくしゃくしていた。
しかしそれが離婚の原因になるとは思えない。
そして一週間後、電話口で「このまま家に帰ったら、許してくれる?」という言葉を残して沙月は消息を断つ。

ほぼ時を同じくして、亡くなった圭一の叔父の遺品の中から
銃弾が発見される。叔父の友康はこの楽器店の先代で、
幼い頃に両親を亡くした圭一の育ての親でもある。
平穏な人生を送っていた叔父と銃弾が結びつかず混乱する圭一。
追い打ちをかけるように、その銃弾が28年前に起こった
警察庁長官狙撃事件に使われたものと同じ型という可能性も浮上する。

警察庁長官狙撃事件は未解決のまま公訴時効を迎えていた。
そして、沙月がこの未解決事件を追っていたことも明らかになる。
叔父と長官狙撃事件の間に何らかの関係があるのか。
もしあるとしたら叔父はどう関わっていたのか。
今回の沙月の失踪はその未解決事件の取材と関係しているのか。

この世界が今日も明日もこのまま続くだろう、そう思っていた人間が、
期せずして社会の深淵を覗くサスペンスミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

156
無謬性を掲げる宗教と政治が激突すれば、巻き込まれた者は2つの正義の間で容赦なく踏みつぶされる。妻に失踪された楽器店主が謎を探るうちに、警察庁長官狙撃事件まで起きた過激派宗教の暴走事件に両親が関わっていた事実を知る。一方で正義のはずの警察も内実は権力争いと内部対立の渦中にあり、その歪みが長い歳月の果てに新たな事件へと結集していくプロセスが巧みに描かれる。モデルとなったオウム事件は大量死刑で終止符を打たれたが、その裏で明日を失った人がいたかもしれない。犯罪とは目に見えない部分にこそ真実が隠されていると訴える。2023/11/22

ちょろこ

123
家族物語の一冊。主人公の叔父の遺品から銃弾が見つかった。28年前の警察庁長官狙撃事件と関係があるのか、真相を紐解くストーリー。手がかりを得て一歩ずつ謎に迫る過程は読み応えあり。事実と仮説が浮き彫りになる度にせつなさもあり惹き込まれた。幾つもの家族が複雑に絡み合うさま、一つの決断、そこに至るまでにどのような家族物語が、想いがあったのか、小さな驚きと予感も含め丁寧に掬い上げ最後まで導かれたのも良かった。と同時に実際の某宗教事件の裏で流された被害者、遺族の涙、警察の真摯な対応の非力を改めて感じずにはいられない。2023/11/25

タイ子

110
あの事件だなと誰もが思う最悪の事件をモチーフにその後の人生を翻弄された人たちがそれぞれにどう足掻き、どう苦しんで生きていくのかフィクション化された作品。楽器店を経営する圭一の妻は雑誌のライターをしているが、ある日離婚届を渡して出張に出たまま音信不通になる。彼女が残した原稿には警察庁長官狙撃の記事が。片や、公安部の斉賀の父親は狙撃事件を気に掛けながら亡くなる。妻の行方不明を機に圭一と斉賀が出会い、2人の共通項が色々見え始める。犯人が見え隠れする展開と城山さんの巧さに感嘆。予想外の顛末は驚愕しかない。2023/11/05

ma-bo

109
1995年に起こった警察庁長官狙撃事件(未解決)をモチーフに書かれた作品。幼くして両親を亡くし、叔父に育てられ楽器店を営む圭一。雑誌記者の妻はこの未解決事件を追っていた先で失踪する。公安部の斉賀は父親も公安警察で狙撃事件を気に掛けながら亡くなった。失踪した妻、発見された銃弾、28年前の未解決事件。一連の謎と共に家族の秘密が浮かび上る。長官狙撃事件を追ったノンフィクション本や記事は過去に読んだ事があり、公安部と刑事部の確執。犯行を告白しながらも長官狙撃事件では逮捕されなかった男の存在。カルト宗教関与の噂。↓2023/11/30

ゆみねこ

83
1995年の警察庁長官狙撃事件、未解決のこの事案をモチーフにした力作。楽器店を営む青井圭一と雑誌記者の妻・沙月、親子二代の警察官斉賀。離婚届を置いて取材旅行に出かけた先で死亡した沙月と彼女が残した取材メモから謎を追う青井圭一。警察官として触れてはいけないこの事件に関わる斉賀。複雑に絡み合った謎には家族を思う気持ちが。最後は少し光が見え、読後感は良かった。2024/01/25

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