ちくま文庫<br> 「悪所」の民俗誌 ――色町・芝居町のトポロジー

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ちくま文庫
「悪所」の民俗誌 ――色町・芝居町のトポロジー

  • 著者名:沖浦和光【著者】
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 筑摩書房(2023/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438867

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内容説明

「“悪”という言葉の裏側には、だれきった日常性を破壊するデモーニッシュな力が潜んでいた」(「あとがき」より)。都市の盛り場は、遊女や役者など賤視された「制外者」たちの呪力が宿る場所だった。なぜ、ひとは「悪所」に惹かれるのか。芸能を業とする人びとは、どのように暮らし、どんな芸を生み出したのか。「遊」「色」「悪」の視座から日本文化の深層をさぐる。

目次

第一章 わが人生の三つの磁場/1 誰にでも〈人生の磁場〉がある/2 「盛り場」──非日常的な祝祭空間/3 周縁的な「場」で暮らす/第二章 「悪所」は「盛り場」の源流/1 「盛り場」の始原は遊里と芝居町/2 芝居町の核となった遊女歌舞伎/3 反骨の美意識を表現した「かぶき者」/4 芸能興行と河原者/第三章 遊女に潜む霊妙なパワー/1 中世の遊里と王朝貴族/2 後白河法皇と卑賤の「声わざ」/3 遊女も極楽往生できる/4 「遊行女婦」の巫女性をめぐって/第四章 「制外者」と呼ばれた遊女と役者/1 戦国期からの「河原者」の進出/2 江戸幕府と近世賤民制/3 三都を中心とした近世都市の成立/4 都市設計の思想と「遊廓」の位置/第五章 特異な都市空間としての「悪所」/1 地方都市と「悪所」/2 「悪所」は反権力の混沌の場だった/3 漂泊する神人の影/4 遊女の色事とエロス/第六章 〈悪〉の美学と「色道」ルネサンス/1 江戸時代の「性」と不倫・背徳/2 東洋の「妾」制と西洋の「一夫一婦」制/3 「色道」賛美と元禄ルネサンス/4  の奥に誠あり──遊女の真実/5 〈悪〉の美学と性愛/第七章 文明開化と芸能興行/1 近世末期の大衆文化の状況/2 新政府の芸能政策と「悪所」の解体/3 西洋を体感した文学者と明治近代/4 歴史の闇の中に消えていった裏町/あとがき/解説 身体・声・音により表現される文化と社会、国家、制度 松尾恒一

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

58
芝居小屋や色町といった非日常を感じさせる空間「悪所」。本書は遊女や歌舞伎の変遷、そして彼らが生きる芝居小屋や吉原といった場所の成り立ち等、主に歴史からそれら「悪所」にアプローチした一冊となっている。個人的に面白かったのは江戸と吉原芝居小屋等の悪所の関係を論じた都市論としての部分。そして明治を生きた文人たちにそれがどう映っていた部分かな。それにしても色町にしろ芝居小屋にしろそこに生きる人々の苦については言うまでもない事ながら、我々外部の眼にはどこか背徳の浪漫を感じてしまうなあ。事の是非は兎も角として。2024/02/16

fwhd8325

58
現代へと続く民族の歴史。素晴らしい内容だと思いました。特に後半の永井荷風の章が素晴らしいと思いました。芸能についても、小沢昭一さんや永六輔さんの書で読んだ内容でもあるけれど、今、この時代に読むことで芸能を再考することになるものと思います。こうした歴史があって芸能があることを今芸能界で活躍されている若い方々はご存知なのだろうか。歴史は決して裏切らないのだ。2024/01/30

Shoji

27
一言で言えば、女子の被差別の歴史です。性交により国造りをしたイザナキ・イザナミの神話の御代、種を残す動物の本能への言及に始まり、話題は飛田や吉原へと多岐に渡ります。興味深いのは、ユネスコ無形文化遺産の歌舞伎も賤民がルーツだとか。民俗学的アプローチで述べており、説得性がありました。2024/01/19

大先生

13
【悪所…今日では猥雑で背徳的な「場(トポス)」という意味で通用しているが、かつては色町と芝居町がセットになって「悪所」と呼ばれていた。遊女と役者は「制外者(にんがいもの)」と呼ばれ悪所に隔離されたが、そこが江戸の文化発信源となった。悪という言葉には日常性を破壊するデモーニッシュな力・呪力が潜んでいた】遊女が「賤」の部類とされるようになったのは室町期で、特に平安期は聖性を宿しているとみられており、天皇や皇族も遊女と交遊し相枕したと。特に後白河院や後鳥羽院。今話題の蔦屋重三郎も吉原育ちということで登場します。2025/01/30

わ!

5
沖浦さんのサンカ関連以外の本を初めて読んだ気がします。評価出来るほどサンカ関連の本を読んでいるわけではありませんが、私は、この本の様な、サンカ関連以外の本の方が面白かったと思えました。まさしく差別の歴史であり、それを綺麗事で包み隠してしまわずに、しかしそこから生まれる強烈な文化がとてもうまく描きだされています。いつの時代も、後世に続いてゆく様な強い表現方法は、善と悪、浄と穢、規律と猥雑の境界のような世界から創造されていることが多いのだと思いました。そんな場の叫びを表すからこそ、観ていて胸を打つのでしょう。2023/11/09

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