内容説明
名将の資質とはなにか--功名を排し、己れの本分に徹して人心掌握につとめ、寡少の兵力に甘んじつつも、百戦不敗の名を轟かせた名指揮官の生涯を綴る陸軍人物伝。万骨枯るインパールで、英軍司令官をして賞賛の辞をおしまない戦闘を展開した日本陸軍きっての戦略・戦術家の生きざまを活写する感動の戦記文学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
16
昔(1986年)読んだ本の新装版。日本陸軍が無残に敗退した三つの戦いのうち、ノモンハン、インパールの二つの戦場で連隊長、歩兵団長、師団長として最前線で戦い、戦場ではついに負けることのなかった名指揮官の物語。彼の指揮下では戦闘では戦果と引き換えに大変な損害はこうむったものの、他の部隊で起きた餓死者は出ず、撤退命令が出るまで戦い抜き、可能な限り遺体は埋葬され負傷兵は収納されたそうな。戦後の英国捕虜となったときの指揮官として毅然とした振る舞いなどを含め、見事なもの。豊田さんの筆致も踊っています。2024/01/11