岩波現代文庫<br> 戦慄の記録 インパール

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岩波現代文庫
戦慄の記録 インパール

  • 著者名:NHKスペシャル取材班
  • 価格 ¥1,331(本体¥1,210)
  • 岩波書店(2023/10発売)
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  • ISBN:9784006033422

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内容説明

三万人もの死者を出した作戦は,どのように立案・遂行されたのか.牟田口司令官の肉声,司令部の状況を詳細に伝える元少尉の日記,生き延びた兵士たちの証言などを通じて,太平洋戦争で最も無謀といわれる作戦の全貌に迫る.現在につながる日本社会の病理をえぐり出し大きな反響を呼んだ単行本,待望の文庫化.解説=大木毅

目次

序 章
死者三万人 戦慄の作戦
行軍路をゆく
一万三五七七人 死の記録
第1章 “責任なき”作戦認可
司令官の遺族との対面
作戦の実像に迫る資料
「大東亜共栄圏」とビルマの日本軍
現場からの反対――保留になったインド進攻作戦
インド進攻作戦の再浮上
参謀たちの懸念と反対
片倉参謀のインタビューテープ
インド独立という大義――チャンドラ・ボースと東條首相
“反対した者はいない”
曖昧な“作戦認可”
第2章 度外視された“兵站”
チンドウィン河へ
日本軍の足跡を訪ねて
村人たちが見た日本兵の姿
戦争準備と食糧調達の実態
“ジンギスカン作戦”に翻弄される兵士たち
小畑参謀長の罷免
見習士官が見た司令部の内幕――幻の「齋藤博圀日誌」を探す
齋藤博圀元少尉との面会
ついに見つかった「齋藤博圀日誌」
齋藤少尉が目撃した異様な司令部
第3章 消耗する兵士たち――軽視されてゆく“命”
兵士たちの難行軍
一変していたイギリス軍
最初の大敗北――トンザン・シンゲルの戦い
国際派・柳田師団長の進言
司令部に響く怒号
混乱する指揮
コヒマ攻防戦の死闘
分断された山岳地帯の村々
第4章 遥かなるインパール――総突撃の果てに
「天長節までに......」――神がかりの司令官
血で染まった丘 レッドヒル
忘れ得ぬ大尉
レッドヒル もうひとりの生存者
レッドヒルを訪ねる
インパールへ
日本軍と行動をともにしたインド人たち
第5章 遅れた“作戦中止”
ある参謀の証言
最高統帥機関・大本営――覆い隠された“戦場の現実”
大本営での視察報告
陸軍を揺るがした「抗命事件」
河辺・牟田口会談の真相と遅すぎた作戦中止
第6章 地獄の撤退路――白骨街道で何があったのか
作戦中止後の悲劇
“日本兵の亡霊”
兵士たちの遺体が連なる“白骨街道”
独断撤退した第三一師団は......
撤退命令を知らずインパールへ
渡れぬ大河
村人たちが見た地獄絵図
川沿いで倒れていった戦友のために
兵士が目撃した戦友の死
ある戦友の「病死」の真相
絵筆を握り続ける元兵士
第7章 責任をとらなかった指導者たち
指揮官たちのその後
「抗命事件」の 末
佐藤中将の戦後
尋問に答えた一七人の指導者の「責任」
牟田口司令官の戦後
残された肉声テープ
“追撃”は可能であったか
終 章 帰還兵たちの戦後
死線をさまよった齋藤少尉
リバティ船の誓い
帰還兵・齋藤博圀の戦後
おわりに――異例の反響
参考・参照文献一覧
岩波現代文庫版あとがき
解説「歴史」になった現代史との格闘……大木 毅

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

70
愚戦の代表のように言われるインパール、ジャーナリストが現地や今や100歳になるような生き残りの方々を丹念に取材して番組にしたものを再構成してある。特に本書で重要と思われるのは、司令部付の若い将校が残した日記だ。取材当時存命で、インパール後もビルマ戦線でマラリアに冒されながら戦い続けた方の、まさに本音が綴られたもので、上級将校の弁明が白々しくすら感じられる。本書を読むと、やはり大本営にはじまる日本の軍事組織の欠陥が端的にあらわれた戦いとの感を強くする。巻末の大木毅氏の解説も一読の価値あり。2023/08/29

どら猫さとっち

6
2017年NHKスペシャルで放映、大反響を呼んだインパール作戦の真実を書籍化。太平洋戦争で、最も無謀で悲惨な作戦として伝えられるインパール作戦。司令官の牟田口廉也の想いは?作戦で犠牲になった人たち、生き抜いた人たちの想い。今では東京五輪やマイナンバー、大阪万博などにも、インパール作戦となぞらえ、警鐘を鳴らし批判している。この作戦の悪性は、21世紀の令和の現在でも受け継がれている。本書を読むことは、歴史を学ぶという意味で、有意義なことではないか。2023/08/14

artillery203

3
「戦慄の記憶インパール」人情という曖昧な気持ちで、兵站のみならず、あらゆる「穴」が明確に見えているインパール作戦を推し進めて、結局破滅した日本軍。作戦中止後、上層部は責任を免れ、独断撤退の佐藤師団長は精神錯乱として、作戦全体も総括されず。問題点は現代にも通じる。のみならず、楽観、責任逃れ、自分の中にないか。同じ状況で空気について流されないか。よく自分に言い聞かせないとならない。2025/03/20

ara

3
八甲田山雪中行軍に次ぐ、日本の構造的脆弱性を表していると揶揄されるインパール作戦。 名前は何となく知ってはいたが、詳しい内容までは知らなかったので本書で学んでみたいと手に取ってみた。 「大東亜共栄圏」等、初めて知るワードもあり、まだ先の戦争について知らないことが多々あると実感。 しかし、図式的には八甲田山と全く同じと言っても過言ではない。結局、上層部がしっかりしてないと、大損害を被る、しかもインパール作戦の場合は上層部も大して責任を取らなかったというから酷いもんだ。仲間の肉を食べる等強烈な内容もあった。 2024/03/31

おやぶたんぐ

2
既読の「福島第一原発事故の「真実」」同様、NHK取材班の力作。補給を軽視し、戦術をもって戦略を制しようとする狂気の実態を知らぬ敵方の賞賛など何になろう。現場の苦闘を無にする“日本的”感情による決定と無責任の恐ろしさ。2023/08/19

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