内容説明
江戸川乱歩,横溝正史,小酒井不木,夢野久作,橘外男,渡辺温,久生十蘭,西尾正…….彼らはみな,「謎解き」を主とした本格探偵小説とは異なる要素を重要視した「変格探偵小説」の書き手である.「本格」の枠を超えた豊饒さで読者を魅了し,今日まで途絶えることなく受け継がれてきた「変格」の精神史を,豊富な資料から論じる.
目次
はじめに
第一章 「変格探偵小説」とは何か
1 探偵小説の黄金時代
2 本格探偵小説と変格探偵小説
3 変格のふるさと
4 谷崎文学と新しい「怪談」
5 「機械」がつくりだす怪異
6 「化け物」としての映画
7 近代資本主義との対決
8 「柳湯の事件」――「神経」と探偵小説
9 「神経」と「神経衰弱」
10 「変態」という,新しい怪異
第二章 変格探偵作家としての江戸川乱歩
1 変態と変格
2 「押し絵と旅する男」
3 「古風」な世界への志向
4 魔性の双眼鏡
5 異界からの微笑
第三章 変格の血脈――横溝正史が受け継いだもの
1 横溝正史の変格志向
2 文豪は「探偵」嫌い?
3 明治の探偵
4 刑事巡査・私立探偵・しろうと探偵
5 「趣味の遺伝」――〈しろうと探偵〉と変格探偵
6 変格の遺伝子は浪漫の季節に開花する
7 「趣味の遺伝」と「孔雀屏風」
8 戦場を駈け抜ける「感応」
第四章 医文学者の変格――小酒井不木の「健全」と「不健全」
1 探偵小説の「リアル」と医学
2 小酒井不木――「不健全派」か「健全」か
3 「健全」なる変格とは――平林初之輔の評言を軸に
4 有理の怪奇・伝染する祟り
第五章 変格派の雄・夢野久作――未知の精神領域へ
1 「あやかし」の法則
2 永遠の循環を探偵する
3 「奇蹟」の顕現を探偵する
4 精神の要塞=「キチガイ」を探偵する
5 観念の無限循環を絶つ
第六章 変格のリアリズム――「実話」をめぐる試行
1 犯罪実話の歴史
2 「探偵小説座談会」と探偵小説の事実性
3 菊池寛と実話
4 長谷川海太郎の死と橘外男の登場
5 「実話」の裏舞台
6 「実話書き」橘外男のテクニック
7 変格的表象としての「実話」
第七章 変格のローカリズム――都市,秘境,そして鎌倉
1 都市と探偵――渡辺温「父を失ふ話」を例に
2 都市から秘境へ――橘外男の南米・アフリカ,久生十蘭の「地底獣国」
3 変格探偵作家・西尾正について
4 西尾正と鎌倉
5 「Kの昇天」の「影」
6 〈現実化する幻想〉から「フィクション」の勝利へ
7 鎌倉文士の「ドッペルゲンゲル」
結語にかえて――あらためて,変革とは,探偵小説とは?
注
参考文献
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
hanchyan@その解釈でいきましょう(笑)
Ecriture
黒い森会長
劇団SF喫茶 週末営業
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