岩波人文書セレクション<br> ケインズの哲学

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岩波人文書セレクション
ケインズの哲学

  • 著者名:伊藤邦武
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 岩波書店(2023/10発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000285117

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内容説明

ケインズの知的背景には,1930年代ケンブリッジにおけるウィトゲンシュタイン,ラムジーら思想家たちとの交流があった.『確率論』から『一般理論』に至る思想的転換の意味を探り,経済学者としてのケインズではなく,哲学者としての側面に光を当てる.リーマン・ショック以降も続く,世界経済混乱の今こそ読まれるべき書.

目次

序 ケインズの哲学的ミリュー
第Ⅰ部 ケンブリッジの哲学者とともに
第一章 ムーア、ラッセル、ウィトゲンシュタインとの交流
1 一九〇三年
2 一九二一年
3 一九三六年
第二章 ケインズの認識論の発展
1 ムーアからの出発
2 『確率論』の認識論
3 自己批判と転換
4 『一般理論』の哲学
第Ⅱ部 古典的哲学者とともに
第三章 科学方法論をめぐる歴史的考察
1 「帰納法についてのいくつかの歴史的覚書」
2 ニュートンについて
3 ヒュームについて
4 ラプラスについて
第四章 ケインズの科学方法論
1 『確率論』の科学方法論
2 ラムジーの理論と間主観的な確率解釈
3 モデルとサンプル
結び 新しいモラル・サイエンティスト

あとがき
岩波人文書セレクションに寄せて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

25
合理的な行為選択の理解のため、根本的な不確実性の論理の理解が必要(59頁)。ケインズはムーアに影響された。ムーアは善が顕在化するのは情愛と美の享受においてであるとした(65頁)。経済学は本質的に精神科学である。これは、ケインズ経済学の方法論的マニフェスト(120頁)。不安とは、個々の人間が現にある世界のなかで将来にむけて精神を働かせるときの、基本的な態度の本質である(198頁)。2015/12/18

Kai Kajitani

7
不確実性(provability)という概念は、客観的な世界のありかたの不確定性(確率)と、個人の主観的な認識のありかた(蓋然性)という二つの性質の異なる概念を包摂するものであり、それゆえに数学のテーマであると共に哲学の課題ともなってきた。ケインズの初期の著作『確率論』は、不確実性を、客観的な世界のありかたに関する個人の認識として捉えることで、不確実性の二つの性質を総合的に論じようとした。しかし、それは客観的確率とは主観的確率が進化論的に漸近するものに過ぎないというラムゼーの批判によって棄却される。2024/01/01

本命@ふまにたす

4
20世紀を代表する経済学者のひとり、ケインズの「哲学」について、思想史的な文脈を意識しつつ『確率論』と『一般理論』の2つの著作を主な題材にして論じる。2022/10/27

ぽん教授(非実在系)

0
ムーアたちの影響を受けて確率論をまとめてラムジーの手厳しい批判を食らって不確実性などの発想を鍛えていったという流れ。2017/05/09

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