内容説明
2024年NHK大河ドラマの主人公『光る君』は藤原道長だった!
紫式部との愛人関係など、道長の意外な人物像に迫る!
千年も前に紫式部によって書かれ、いまも読み継がれる『源氏物語』。その主人公光源氏とは、藤原道長その人であったと言えば驚かれるだろうか。
紫式部の日記には、二人が愛人関係にあったと思しき記述が残されている。道長こそが光源氏のモデルであったとしても決しておかしくはないのだ。
一方、道長は「この世をばわが世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」と自らの栄耀栄華を象徴する歌をつくったというのが通説である。しかし、本当にそうだったのか。
仏教へ帰依していく彼の人生を見れば、そこには「無常観」こそあれ、「傲慢」「独裁」といったイメージはみじんもない。これまでの道長像は真っ赤な嘘ではなかったかと本書は指摘する。
誤解された道長という存在を中心に、かくもすぐれた小説が生まれてきた平安時代という時代が世界史においても奇蹟のような時代であったことを浮彫にする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
11
今年の大河ドラマに備えて基礎知識を得るため読んでみた。2024/01/28
古本虫がさまよう
4
「行動する評論家」だから、喜寿(近く)にもかかわらず、道長ゆかりの地・京都・奈良にも飛んで行くシーンから始まる。紫式部の墓は京都の目抜き通りにあって花が絶えず、生花と線香が絶えないのに、道長の墓・石碑のあるところは、JR無人駅(木幡)から歩いて15分ほどの住宅街の竹藪のあたりにあったそうな。「想定外の狭さ、鬱蒼として雑草が生い茂り、手入れもなされておらず、とても権力の極みにあった人物の墓とは思えない卑小な墳墓、雑草に蔽われてゴミの集積場のごとく寂れた墓地である」紫式部の墓とはくらべものにならないとのこと。2023/10/23
NAGISAN
2
本年のNHKの大河ドラマは、「この世をば わが世とぞ思う・・・」と詠んだ通説の道長像とは異なる姿を描くようだが、本書の書き出しも同様に進んだ。中国評論の専門家と思いこんでいたが、77歳にして、取材活動しながらその見識をみごとに文章化されている。2024/01/23