内容説明
演劇する集まりを立ち上げ、「FICTION」と名付けた。人が入れ替わりながら、わたしは残り、十六年つづけ、小説も書くようになった。仲間のひとりは夭逝し、もうひとりは体が半分しか動かない身で小説を書こうとしている。二度の大病をしたわたしは回顧し始める。死と生、芸術を奔放なスタイルで思索する連作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽち
7
前作「君たちはしかし再び来い」に続いて私小説で、これは山下さんが主宰していた劇団「FICTION」時代のことを書いていて、亡くなったひとのことを書いている。郷愁、追憶と記憶されている景色、場が時間を変質させるかということはここ10年か15年くらいかの間にいろいろな読書に繋がっていることで、それは小説のことで考えること、人間の意識、実存、世界を認識する、認識される(からそこにある)世界、ということと繋がる2024/04/04
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2023年11月初版。初出「新潮」2019年1月号、5月号、10月号、20年5月号、9月号、21年2月号、7月号。大幅な加筆・修正。山下さんの著作は初読みかと思ったら、四冊目でした。読書メーターのレビューを見たらすべて「オイラの苦手な芥川賞作家でした。」と書いていた。その通りでした。新刊コーナーにあるのを見境無しに借りるから、こういうこともあるのだ。2023/12/16
taxx
1
自伝的小説。FICTIONの劇が大好きで観に行っていたので、それぞれの顔も声も生々しく蘇って来る。その裏での壮絶さも窺えるが、あの観劇体験は改めて財産。2023/12/13
漣
0
現実も虚構も過去も現在も未来も軽々と飛び越えていくような文章で、私にはとても追いつけなかった。2024/05/28
gua5113
0
最初の10頁くらい、なんじゃ? この文体は! って思ったけど、ふいにすーっと心に沁み込んでくるように、すらすら読めた。 FICTIONと題しながら、限りなくNONFICTIONなのではないかと、勝手に想像してしまう。 「お客様は神様です」云々のくだり、恥ずかしながら、知らなかった。 この数行だけでも、この本を手にした意味が、私にはあったと、断言できる。2024/01/27