内容説明
朝まで歌い続けた祖父の声、夢でしか会えない祖母の感触、旅の夜に聞いた息子の本音――。どんなに近くに暮らしていても、いちばん分からない。だから尋ねてみた。「あの時ってさ……」。知れば知るほど、もっと大好きになるから、家族って不思議だ。なにげなくて愛おしい記憶のかけらを拾い集めた、20のエピソード。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほし
15
スズキナオさんの本は好きでよく読むのですが、家族をテーマにしたこの本ではこれまでになくスズキナオさんのパーソナルな部分が描かれています。どの話も儚さとユーモアと人生の不思議さに満ちていて、読んでいると自分がもう忘れてしまった過去の時間の連なりのうえに今生活しているのだな、と改めて感じさせられました。抗い用のない時の流れの中で、なぜか一緒に生きることになった家族という存在。スズキナオさんの新境地にして、最高の一冊です。2023/11/18
たっきー
14
家族についてのエッセイ。昔のエピソードも現在のエピソードもたっぷり。親戚の集まりなど、今となっては懐かしいというくらいの私からすると、羨ましい反面、必ずしも良いことばかりではないだろうなと思う部分も。2人のお子さん(特に次男)のエピソードが楽しく、可愛らしく、心温まる。妻の宝塚オタクっぷりはその気持ちがよくわかる。著者がなぜ何公演も観劇にいくのか、という疑問に対して妻が「観るしかないねん」と言うの、私が言うときも全く同じ(バンギャ)。そう、観るしかないし、行くしかない。2024/01/04
イワハシ
6
酒場話の多い著者が「家族」について綴ったエッセイ。最近の仕事の中ではダントツで面白い。ええ加減な酒呑み話も面白いのだが、こちらの方向も悪くない。書き手としての武器を増やせた感2023/11/16
チェアー
4
家族はあるのではなくて、なるものだ。家族がなんなのかはよくわからない。それはぐにゃぐにゃと形を変えてゆく。過去の思い出も、思い出すタイミングによって形を変える。家族は固定的でなくて流動的だ。 気持ちがちょうどいいクッションをかませたうえで伝わる、いい文章だ。 2024/01/13
junne
4
ナオさんが奥さんのことをこんなに書いてるのは初めて読んだ気がする2023/12/13