ちくまプリマー新書<br> ケアしケアされ、生きていく

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ちくまプリマー新書
ケアしケアされ、生きていく

  • 著者名:竹端寛【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684639

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内容説明

他人に迷惑をかけていい!!★ケアは弱者のための特別な営みではない。社会の抑圧や呪縛から抜けだして、自分のありのままを大切にするような、お互いがケアしケアされるそんな社会を目指そう!★ 〈著者からひと言〉この本は、ケアから逃げてきた私が、ケアと出会い直すことによって見えてきた世界を、みなさんにも馴染みがある3つの視点から考えてきた本です。1つめは20歳の大学生の世界です。私は大学生を20年近く定点観測してきました。その上で、今の学生が「他人に迷惑をかけてはいけない憲法」に縛られて、生きづらさを抱えているように思えます。それは一体どういうことなのか、を考えてみました。2つめは6歳の子どもの世界です。私の娘は今、6歳なのですが、「迷惑をかけまくって」楽しく生きています。安心して迷惑をかけられる環境で、のびのび生きています。でも、ちゃんとしなさい、と叱り続けると、そのうち親や教師を忖度する大学生になるのではないか、と心配しています。なぜ、のびのびした子どもが、その十数年後には「他人に迷惑をかけてはいけない」と縮こまる大学生になるのか? その背景を考えるうえで、3つめの世界、「昭和98年的世界」を生きる48歳の私の世界を考えています。昭和が終わって30年以上経っても、日本社会の基本的なOSは昭和時代のままです。理不尽な労働環境でもがまんする、抑圧的環境に「どうせ」「しゃあない」と諦める。それが、女性の管理職や政治家比率が低く、イノベーションが生まれにくい「失われた30年」の背景にあると私は考えています。そして、この世界は「ケアレス」な世界です。この閉塞感をこえるためには、日本社会がケア中心の社会に変われるか、が問われています。能力主義や男性中心主義の呪縛の外にある世界です。それは、共に思い合う関係性が重視されるし、そのためには自分自身の「唯一無二性」とも出会い直す必要があります。そんなの無理だよ!と理性の悲観主義に陥らず、ではどうやったらケア中心世界は可能なのか、について、できる一つの可能性を模索したのが、本書です。中高生にも読んでもらえるよう、わかりやすい文体を目指しました。よかったら、読んでモヤモヤしてくださると、嬉しいです。 竹端寛■【目次】 第一章 ケア? 自分には関係ないよ!/一 「迷惑をかけるな憲法」/他人に迷惑をかけてはならない/都合のいい子!?/大人から学んだ「いい子」/二 しんどいと言えない/意見を表明する権利/他人の顔色をうかがう/苦しいことと苦しみ/三 自分自身を取り戻す/ゼミで涙を流す学生/ペラペラしない他者/ about-ness からwith-nessへ/四 面倒な中に豊かさがある/ケア不在を超えるために/自分の魂に迷惑をかける?/第二章 ケアって何だろう?/一 確かに面倒なのだけれど/めっちゃ可愛く、めっちゃややこしい/存在をぶつける/意見表明の主体としての子ども/一方的にケアされる存在ではない!/二 自分へのケアと他人へのケア/子どもの「開かれ」/自分の人生へのリミッター/忖度の危機/作られた悪循環/偽解決を超えるために/三 他者へのケアの前に/支援か支配か?/関係性のダンス/同調圧力に異を唱える/誰へのケア?/四 互いが気にかけあう/自分へのケア/共に思いやること/ with-ness で生活を回す/何を見ようとしてこなかったのか/第三章 ケアが奪われている世界/一 ケアのないわたし/ケアレスとはなにか/同調圧力と「空気を読む」/自己責任とわきまえ/ケアレスな社会/二 「昭和九八年」的世界/労働ファースト/最も眠れていない国/頑張れば報われる、の呪い/前時代の大成功、ゆえに/三 標準化・規格化の「大成功」の陰で/昭和の成功を支えたもの/銀行型教育システムへの囚われ/「正解」幻想/昭和的価値観の限界/四 ケアの自己責任化を超えて/「発達」の「障害」?/置き去りにしてきたケア世界/自分が学んだことはこれなのか!/「ちゃんと」のリミッターを外す/第四章 生産性至上主義の社会からケア中心の社会へ/一 生産性とケア/誰のための、何のための効率?/男性中心主義の外にある世界/能力主義の呪縛/「生産離脱者」の排除/二 責任の共有化で楽になる/依存先を増やす/関係性に基づくケア/懲罰ではなくエンパワーする責任/切り分けるのではなく、分かち合う責任/三 共に思い合う関係性/中核的感情欲求と向き合う/生き様の理解と支援/迷惑をかけるな、より大切なもの/他者の他者性に気づくこと/四 ケア中心の社会へ/己の唯一無二性とも出会い直す/魂の脱植民地化/葛藤を共に味わい社会化する/できる一つの方法論

目次

はじめに/第一章 ケア? 自分には関係ないよ!/一 「迷惑をかけるな憲法」/他人に迷惑をかけてはならない/都合のいい子!?/大人から学んだ「いい子」/二 しんどいと言えない/意見を表明する権利/他人の顔色をうかがう/苦しいことと苦しみ/三 自分自身を取り戻す/ゼミで涙を流す学生/ペラペラしない他者/about-nessからwith-nessへ/四 面倒な中に豊かさがある/ケア不在を超えるために/自分の魂に迷惑をかける?/第二章 ケアって何だろう?/一 確かに面倒なのだけれど/めっちゃ可愛く、めっちゃややこしい/存在をぶつける/意見表明の主体としての子ども/一方的にケアされる存在ではない!/二 自分へのケアと他人へのケア/子どもの「開かれ」/自分の人生へのリミッター/忖度の危機/作られた悪循環/偽解決を超えるために/三 他者へのケアの前に/支援か支配か?/関係性のダンス/同調圧力に異を唱える/誰へのケア?/四 互いが気にかけあう/自分へのケア/共に思いやること/with-nessで生活を回す/何を見ようとしてこなかったのか/第三章 ケアが奪われている世界/一 ケアのないわたし/ケアレスとはなにか/同調圧力と「空気を読む」/自己責任とわきまえ/ケアレスな社会/二 「昭和九八年」的世界/労働ファースト/最も眠れていない国/頑張れば報われる、の呪い/前時代の大成功、ゆえに/三 標準化・規格化の「大成功」の陰で/昭和の成功を支えたもの/銀行型教育システムへの囚われ/「正解」幻想/昭和的価値観の限界/四 ケアの自己責任化を超えて/「発達」の「障害」?/置き去りにしてきたケア世界/自分が学んだことはこれなのか!/「ちゃんと」のリミッターを外す/第四章 生産性至上主義の社会からケア中心の社会へ/一 生産性とケア/誰のための、何のための効率?/男性中心主義の外にある世界/能力主義の呪縛/「生産離脱者」の排除/二 責任の共有化で楽になる/依存先を増やす/関係性に基づくケア/懲罰ではなくエンパワーする責任/切り分けるのではなく、分かち合う責任/三 共に思い合う関係性/中核的感情欲求と向き合う/生き様の理解と支援/迷惑をかけるな、より大切なもの/他者の他者性に気づくこと/四 ケア中心の社会へ/己の唯一無二性とも出会い直す/魂の脱植民地化/葛藤を共に味わい社会化する/できる一つの方法論/おわりに/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

venturingbeyond

29
部活引率の伯備線車中で読了。自立・自己責任・能力主義・自己肯定感(自尊感情)・迷惑をかけることへの忌避意識などなど、現代日本の生きづらさをもたらす自縄自縛の構造を平易に語り、著者自身の育児体験を基にオルターナティヴを提起する一冊。著者と同世代である自分にとっても、本書で示される生育過程で内面化された男性特権を正当化するあり方とその硬直性がもたらすセルフネグレクトの問題性は、納得できるものであった。「大人の学びは痛みを伴う」の一節が腑に落ちるケアの観点からの学び直し、自己の捉え直しに導く一冊。2023/10/29

呼戯人

23
政治では、この植民地化した日本人の生活も精神も変えられないと思って、ケアの本を読んでみました。ケアには五つの種類があるとジョアン・トロントの言葉が引用されていました。①関心を向ける事 ②配慮すること ③ケアを提供すること ④ケアを受け取ること ⑤共に思い遣ること。2023年は、昭和で数えると98年になるそうです。男性中心主義の効率主義、差別主義、迷惑をかけるな主義など今の日本を作っている価値観が、未だに広がっています。それに風穴を開けるのが、ケアだと思いました。2023/10/11

kuukazoo

19
ケアとは複雑な概念である。誰かがやらないと維持されないもの(家事、育児、介護)であり、配慮したり関心を寄せたり思いやることも含まれる。でも他人に迷惑をかけないよう自分を抑えたり顔色を読んだりすることは他人への配慮のようで実は違うのかもしれない。能力主義や成果主義、自己責任論といった価値観に染まると他者を他者のまま理解することが難しくなるというのは確かにある。他人には自分の理解できない他者性があると知り、違いを知った上でどうするかを考え、話し合うことを面倒がってはいけないなと思った。せめて近い関係だけでも。2023/10/31

sakanarui2

13
ケアとは何か。私たちの苦しさにつながっているケアの欠如について、豊かな関係性を築きケア中心の社会をつくる方法について、最新の研究や専門知識も交えながら、でもあくまで著者自身が育児や学生との関わりを通じて得た気づきをベースに語られている。読んでいると必然的に、自分自身の子供時代の傷や、これまでの人との関わり方のまずさを振り返ることになり、けっこうしんどい(それを著者も自覚している)。でもこれまで読んだケア関連の本の中でいちばんわかりやすくてあたたかいと思った。多くの人に読まれてほしい。2024/02/19

coldsurgeon

11
著者に娘が誕生し、その子育ての中で、世話をすることを退官しながら考えたことがベースとなっている。子育ての中で、子どもに向かい「迷惑をかけるな」という命令形は、他者や世間による、子ども自身の、自分自身の可能性へのリミッターとなりうる。さらに自己責任論や「頑張れば報われる」の呪いが、同調圧力への抵抗性を弱めてしまう。そう「扱いやすい子ども」というのは、親が管理し支配しやすい子どもということだ。「他者には自分には理解しえない他者性がある」ことを、子育ての中で気づいたという。「共に思いやる関係性」が必要だ。2023/11/09

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