ちくま新書<br> 世界を動かした名演説

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ちくま新書
世界を動かした名演説

  • ISBN:9784480075857

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内容説明

名演説とは時代や歴史、社会問題や政治運動を色濃く記録したサムネール(縮図)だ! 武器にもなり癒しにもなる言葉の力とは。チャーチルの第2次世界大戦の戦況を逆転させた演説から、ドイツ発史上最強の謝罪演説、ゼレンスキーの戦時下演説まで。冷戦、戦争責任、グローバルサウス、人種差別、宗教戦争、コロナ禍そしてウクライナ戦争。現代史と世界情勢の要点を、話術のコツと合わせて総覧し、歴史に残る名言を味わい尽くす。

目次

はじめに/第1部 抗戦と平和/1 ウィンストン・チャーチル/「我々は戦う。岸辺で、上陸地点で、野原で、街路で、丘で」1940年6月4日/第2次大戦時、英国軍の反転攻勢を鼓舞した名演説/チャーチル以前の英国とポピュリズム/「すごい」「すばらしい」「凄まじい」ドイツ軍の恐ろしさ/映像のようにたたみかけ、聴衆の心を揺さぶる/今も昔もしたたかなアメリカ/「どんな犠牲を払っても」という切迫感/戦争屋は、戦争が終わればお払い箱?/戦況を覆した世紀の演説/【原文抜粋】/【演説要旨】/2 ウォロディミル・ゼレンスキー/「ウクライナに栄光あれ」2022年3月8日/同12月21日/ゼレンスキーはパトス(感情)の人/あの日からの13日間を描く/「ウクライナも私も、ナチスじゃない」/過去の惨劇を思い起こさせる/「子ども」で感情を揺さぶる/郷に入りては郷に従え──アメリカでのレトリック/これは宗教戦争であり、言語闘争でもある/スピーチの役割、言葉の重み/【演説要旨=2022年3月8日@英国議会オンライン】/【原文抜粋=2022年12月21日@米国連邦議会】/【演説要旨=2022年12月21日@米国連邦議会】/3 ジョン・F・ケネディ/「Ich bin ein Berliner(私はベルリン市民です)」1963年6月26日/生粋のヒーローが残した数々の名演説/1963年6月、公民権法、キューバ危機後、ベルリン訪問/冷戦下のユーモア/ベルリンの壁の特殊性/宗派アレルギーを解消した男/ケネディは自虐ネタの名手?/ベルリンの壁崩壊のきっかけを作った演説/【原文抜粋】/【演説要旨】/4 ロナルド・レーガン/「この壁を壊してください!」1987年6月12日/「つかみ」は現地語で/一都市の問題ではなく、全世界の問題なのだ/ベルリンの真ん中でソ連に軍縮を呼びかける/ザ・グレート・コミュニケーター、レーガンのお手並拝見/レーガンとゴルバチョフの歩み寄りが冷戦終結をもたらした/誰もが愛したレーガンのユーモア/東欧の民主化とベルリンの壁崩壊の真実/【原文抜粋】/【演説要旨】/5 リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー/「過去に目を閉ざす者は現在にも目をつぶることになる」1985年5月8日/史上最強の謝罪演説/過去に対する責任は誰にもある/加害すべてを網羅する/謝罪するなら徹底的に/「知る責任」を問う/ドイツを野蛮国からヨーロッパのリーダーへと転換させた/【演説要旨】/6 ジャワハルラール・ネルー/「世界で何が起ころうとも、どちらにも属さない」1955年4月18日/インドのネルーの名演説/第3世界の非同盟宣言は「グローバルサウス」へ/元植民地としての大国への怒り/戦争への痛切な忌避感/内政不干渉のジレンマ/【演説要旨】/7 鄧小平/「今、3つの世界がある」1974年4月10日/ルーツはネルーの演説にある/鄧小平演説の皮肉/ソ連の位置づけを変えた/50年を経て変貌した中国/中国批判の絶好の材料?/第3世界の消滅/先進国か途上国かを使い分ける/【演説要旨】/8 昭和天皇/「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」1945年8月15日/日本には演説文化がない?/初めて聞く天皇の声が戦争を止めた/平和大国日本の礎となった?/玉音放送から人間宣言へ/【「玉音放送」原文】/【「人間宣言」抜粋】/9 安倍晋三/「希望の同盟へ」2015年4月29日/米国連邦議会でスピーチした日本人/ご当地ネタに自虐ネタ、歴史の列挙……演説テクニックの宝庫/アメリカ人に響く史実を踏まえる/情けに訴えてスタンディングオベーションを誘う/【日本語訳抜粋】/第2部 迫害と希望/10 マーチン・ルーサー・キング/「I have a dream(私には夢がある)」1963年8月28日/演説の金字塔/アメリカ人全員から慕われるエトスの持ち主/一般人の生活と独立宣言を結びつける/黒人の苦悩を下敷きに、人々の心を揺り動かすレトリック/3つの意味で世界を動かした演説/【原文抜粋】/【演説要旨】/11 マルコムX/「The Ballot or the Bullet(投票か弾丸か)」1964年4月12日/マルコムXの本名は?/キングが牧師なら、マルコムXはボクサー?/人々の怒りを煽り、立ち上がらせる話術/ディキシークラットとレーガンデモクラット/公民権運動は終わっていない/公民権は南部者が実現した?/【原文抜粋】/【演説要旨】/12 ネルソン・マンデラ/「死ぬ覚悟はできている」1964年4月20日/アパルトヘイトとは何か/何が廃止を後押ししたのか/アパルトヘイトの影で行われていた核開発/「世界」を視野に入れた法廷陳述/南アフリカの今に残るアパルトヘイトの影響/【原文抜粋】/【演説要旨】/第3部 課題に立ち向かう/13 マララ・ユスフザイ/「一人の子ども、一人の先生、一本のペンそして一冊の本が世界を変える」2013年7月12日/シンプルな言葉だからこそ力強い/謙虚なのに、マーベル映画の主人公のようなカッコよさ/マララ銃撃事件の背景/自然と主導権を握り、アクションを呼び起こす/タリバンへの注目を集め、子どもが世界に発信する潮流に/【原文抜粋】/【演説要旨】/14 ジャシンダ・アーダーン/「私たちが信じている国になるために」2019年3月29日/相手への共感を示し、仲間を感じさせる/ローカルからグローバルへと視点を広げる/優しい心根とリーダーシップ/新たな女性リーダー像を世界に示した/【原文抜粋】/【演説要旨】/15 アンゲラ・メルケル/「親愛なる市民の皆様へ」2020年3月18日/ステイホームとその理由を人々に真正面から訴える/科学を話し、人間性に帰着する/確かな生活から生まれたフレーズ/具体的で理性に訴えかける名演説/21世紀のリーダー像を示したメルケル首相/【演説要旨】/原文出典/おわりに