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内容説明
かつての日本企業が抱いていた「お金より人が大事」という考え方は決して理想主義ではなく、実利に適ったものであり、それこそがビジネスを 栄に導く強みであった。しかし、日本企業はいつしか人より金に走り、アメリカ式の経営を表層的に真似し、低生産性と低賃金の低空飛行に陥った。どうすれば、この「負のスパイラル」を抜け出せるのか? 東大史上初の経営学博士にして平成生まれの慶大准教授が放つ、渾身の日本企業再生論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆまゆ
12
昭和というインフレ化では「カネよりヒト」が価値創造の主役だった。海外ではむしろ日本型経営の技術を取り入れようとしていたが、平成ではデフレによってカネ優位になって「ヒトよりカネ」が明確になり、さらにグローバル化という言葉に惑わされ、強みを捨て弱みを取り入れる結果に。今こそかつての日本型経営を取り戻せるか…2024/02/21
ほし
11
海外起点だと思われている経営技術には少なからず日本由来のものがあるが、それと知られず日本に逆輸入されることにより、寧ろ経営に悪影響を与えている。そのような事態が起きた理由は、日本企業が文脈に依存したコミュニケーションを強みとしていたため、経営を抽象化・コンセプト化することを組織として行なってこなかったことによる。もっとコンセプト化による経済的価値に目を向けるべきだ…というのが本書の論旨になります。個人的には筆者の主張に共感できる点もあるものの、ややパワープレイが目立つようにも感じられ、評価の難しい一冊。2023/11/12
はるわか
10
経営者の孤独と従業員の困窮は同根(一部の人による経営知識と意識の独占)。海外の慧眼の持ち主は過去から現在に至るまで【日本から学び続けている】国内では悲観論や自虐がはびこる。過去の日本の経営において価値創造の主役はカネではなくヒト。その後「ヒトよりカネが大事」な似非世界標準経営が広まり、経営とは言えない「名ばかり管理」が横行。日本で流行するアメリカ式経営は「似非」に過ぎない。米国はじめ海外ではヒトを大事にする経営への志向が強まっている。イノベーション創出の必要性が高まる今こそ日本式経営の強みを再認識すべき。2024/01/04
Iwata Kentaro
7
経営は素人なので本書の是非は知らない。が、「カイゼン」は日本というよりトヨタ独自の方法でほとんどの日本組織(医療系含む)はカイゼンできてないのでは。2023/12/03
しゅー
7
★★★ビジネスの世界で米国から輸入されるバズワードは、ことごとく「日本式経営」の産物だよというのが本書のスタート地点。そこから「日本すごい」の礼賛に向かわないのが著者の賢さ。なぜ我々は自分たちの強みに気づかず、米国流にアレンジされたそれを逆輸入して喜ぶのか。そう言えば三枝匡さんの著作でも、タイムベース競争戦略はトヨタ生産方式が元ネタという話が載っていたなぁ。日本はコンセプト化で米国に劣るという本書の洞察には賛成だけど、日本式経営が力を失ったのは人を大切にしなくなったからという解釈には疑問。因果が逆じゃね?2023/11/08