ゲノムでたどる 古代の日本列島

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ゲノムでたどる 古代の日本列島

  • ISBN:9784487816613

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内容説明

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人類が初めて日本列島にやってきたのは約4万年前。
日本列島のはじまりを築いた人々は、どんな生活をしていたのだろうか。
ゲノムを読むと何がわかるのか?
話題の「古ゲノム学」とは何か?
研究者が「ゲノムを読む理由」とは?
日本列島人の起源と成立をさぐる研究プロジェクト「ヤポネシアゲノム」のメンバーによる、珠玉の科学エッセイ集。

「一段落した調査現場で、私は温かい缶コーヒーを飲みながら考えた。誰が一体なんのためにこんな墓を作ったのだろうか。なぜ中妻貝塚に作られたのか。これだけの人骨はどこから運ばれてきたのか。以前より浮かんでは消えていた謎が、頭の中をぐるぐる巡る。」
――山田康弘 〈第1章〉縄文時代を「掘る」 より


「お酒に弱い、という遺伝的変異は、何かに強かったのではないか? それは、何かはわからないけれど、何らかの感染症と関連するのではないか、と考える事は、それほど馬鹿げた空想ではない。十分に検証するに値する仮説だ。それでは、東アジアでは、お酒に弱いことが、何に強かったといえそうなのだろうか?」
――太田博樹 〈第2章〉お酒に弱い遺伝子とウンチの化石のゲノムから何がわかるか より

「ゲノムとは生き物の設計図である。血液型がA型だったりB型だったり、目の色が黒かったり青かったりするのは、それぞれ設計図であるゲノムのどこかに違いがあるからだ。植物でも同じことで、設計図が部分的に書き換わってしまう(突然変異という)ことによって、色や形や大きさに違いが生まれる。逆に言えば、設計図を読み解くことで、姿形の違いや環境への適応能力の違いが進化したのかを理解することができる。ゲノムを読む、とはそういうことなのだ」
――内藤 健 〈第3章〉アズキはどこで生まれたのか より

「ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)が日本で塗料として用いられ始めたのは、遅くとも縄文時代早期という、かなり古い時代であるとされている。多くの読者は、このような「高尚な」文化は中国伝来であるという先入観を持つかもしれない。しかし、実は遺跡に残された遺物の古さだけを見ると日本のものの方が古い可能性もあり、漆文化は日本発祥では、という説を唱える研究者もいるほどである。」
――菅 裕 〈コラム〉漆の過去・現在・未来 より


DNAは、その人骨の遺伝的特徴を知るための手がかりとなる情報である。そのため、DNAをうまく回収し、その塩基配列を決定し、その配列情報を使った研究でうまく「調理(料理?)」してあげれば、その人骨のルーツや我々現代人との関係を語ってくれる。この場合、おいしい食材はDNAであり、料理のための道具類はDNA配列を決定するためのシークエンサや解析するための統計ツールになるだろうか。
――神澤秀明 〈第4章〉日本列島人はどこから来たのか より

目次

第0章 日本列島人のはじまり(斎藤成也)
第1章 縄文時代を「掘る」―どうやって考古学者になり、なぜ墓をテーマに研究することになったか―(山田康弘)
Column 縄文人の血縁関係を古人骨のゲノム解析で調べる(太田博樹)
第2章 お酒に弱い遺伝子とウンコの化石のゲノムから何がわかるか(太田博樹)
第3章 アズキはどこで生まれたのか―植物遺伝学で読み解く縄文時代の食文化―(内藤 健)
Column 漆の過去・現在・未来(菅 裕)
第4章 日本列島人はどこから来たのか(神澤秀明)
おわりに
参考文献・読書案内
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

65
古代人骨や彼らが栽培していた小豆などの植物のゲノムの研究者達による回顧録のような読み物。どんな子供だったか?どうしてその研究を始めたか?どんな事に苦労しているか?など研究者達の肉声が聞こえるようで面白かったです。縄文人の多数合葬墓や栽培アズキの起源は日本なのでは?という話しが特に印象的でした。2023/11/29

翠埜もぐら

14
日本人がどこから来たのかを詳しく語るのかと思っていましたが、今、どういう研究がどういう風に行われているかという話でした。最近読んだの人類進化の本にも、ゲノムで解析する話が多かったのですが、実際どういう物かは全く分からなかったので、ゲノムの抽出方法から国を超えた研究者のネットワークによって成り立つ解析まで、大変興味深い話でした。現在進行形の話なので、「論文発表するまでちょっと待ってね」的なところもあってやや肩透かし。でも最近は素人向けの本でもリアルタイムな話題が多くなって嬉しいかぎり。こうなると続編に期待。2023/11/28

ときわ

6
題名はちょっと違うなあ。内容は「古代の日本列島に住んでいた人たちのことをゲノムでたどろうとしている研究者たち」です。まだ道半ばで先は長そう。分からないことはたくさんあるけど、技術革新で「お金がかかりすぎるからこんなことは夢だ」と思っていた研究が近年出来るようになった。何人もの先生たちが、自分がなぜこの研究をするようになったかを語っていて、何が分かったかより格段にそっちが面白かった。ある時突然道が開けたり、思いがけなく飛び込んだり、仲間を引き入れたり、自分語りがとても楽しかった。2023/10/31

蒼田 友

3
興味はあるものの、門外漢なので読み切れないかもしれないと思いながら手を出した。これが当たりで「研究現場の体験」が主軸の為、分かりにくい単語が出てきても中和され非常に読みやすく構成されていた。なので、物足りないという人も多いと思う。見たことある研究もあった。日本人はお酒に弱い遺伝子を持つものが多い。アズキが日本で生まれたなど。最初のお墓の話しは興味なかった分野だが、そそられた。小学生や中学生に触れて欲しい。研究には平気で10年費やしている描写もあるし、研究費の捻出が大変そうなのが辛い。2024/04/28

tarbow59

1
★★★★☆ 図書館本2024/03/24

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