内容説明
精神分析を起源として独自の発展を遂げる,しかしこれまで決して名づけられることのなかった「ありふれた臨床」――――精神分析的サポーティブセラピー(Psychoanalysis Originated Supportive Therapy : POST)。「POST」とはどのような理論的基盤をもち,臨床フィールドにおいていかに実践されているのか,2つの事例とその逐次的解説を通じて「POST」の魅力と実践可能性を紹介する。
第1の事例では,「初期――混乱した出会いとPOSTのアセスメント」「中期――主治医との連携,環境のマネジメント,心理教育的アプローチ」「後期――頻度の変更,そして終結へ」を,第2の事例では,初期――精神分析的セラピー? POST?」「中期――転移の理解とPOSTの使用法」「後期――POSTから精神分析的セラピーへの移行」を,クライエントとセラピストのスクリプト,セラピストの自己内対話,セラピーの概要を記述したレポートからなる立体的な構成で紹介する。
続く「解説編」では2つの事例を踏まえて数々の実践上の問いを探究する――――アセスメント面接において何を考えるべきか? POSTはどのようなケースに向いているのか? POSTの中期はどう展開するのか? 介入において何を工夫すべきか? POSTの終盤をいかにガイドすべきか POST終結と精神分析的セラピーへの移行をどう判断すべきか?
POSTという実践の鳥観図となる「POSTの精霊――――「東京」で出会った心理士たち」(東畑開人)を付した,精神分析的サポーティブセラピー(POST)を今ある臨床実践に接ぎ木して根づかせていくための「はじめてのPOST実践ガイド」。
目次
序章:POST「再」入門
第I部:事例編(1)「竹取さん」
第1章:初期――混乱した出会いとPOSTのアセスメント
第2章:中期――主治医との連携,環境のマネジメント,心理教育的アプローチ
第3章:後期――頻度の変更,そして終結へ
第II部:事例編(2)「宇鷺さん」
第1章:初期――精神分析的セラピー? POST?
第2章:中期――転移の理解とPOSTの使用法
第3章:後期――POSTから精神分析的セラピーへの移行
第III部:解説編
第1章:アセスメント面接で考えること――POSTはどのようなケースに向いているのか?
第2章:POSTの中期はどう展開する?――介入の工夫と「心に留める」こと
第3章:POSTの終盤をガイドする――POST終結? 精神分析的セラピーへの移行? リファー?
POSTの精霊――――「東京」で出会った心理士たち/東畑開人
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ゼラニウム/フウロソウ科
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