文春文庫<br> 僕が死んだあの森

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文春文庫
僕が死んだあの森

  • ISBN:9784167921217

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内容説明

『その女アレックス』の鬼才ルメートルが描く、戦慄の犯罪文学

『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。

 あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。

 母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。

 死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。

十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間――その代償がアントワーヌの人生を狂わせる。

『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。

文庫解説・三橋暁

※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

オーウェン

56
12歳のアントワーヌは諍いから、6歳の男の子を殺してしまう。恐怖にかられ死体を地中に埋めて逃げるが、そこから警察の捜索が。そしてアントワーヌは現場に腕時計を落としていたことを思い出す。誰が殺したかは分かっているので、いかにアントワーヌが追い詰められていくのか。またどういった顛末を迎えるのか。罪の意識に苦しむのだが、周りの大人はそれを同情という形で悲しんでくれるのがなんとも皮肉。そして犯した過ちは殺人だけでなく、その流れに乗るまま流れていく人生。ラストのある情報によって、一夜の過ちは終わることがない。2025/01/09

k5

48
ルメートルのひさびさの新刊(文庫になるまで待ってただけだけど)。少年期に犯した罪に苦しめられる話なんですが、まあ、こんな感じか。田舎町の閉塞した感じとか、少年の抱える小狡さと純粋さとか、さすがルメートルな部分はたくさんあるんですが、そこまでのスマッシュヒットではなかった、というのが実感ですね。もう一回『アレックス』読むかな。2023/11/03

マエダ

47
全てを不幸にしていくスタイルのルメートル。12才が6才をあやめてしまうところから始まるが。ここからどう不幸にしていくのか予測できない。2023/11/23

むつこ

29
ギョッとする邦題ではあるけれど、読めば納得。ひょんなことから12才の主人公は6才の近所の男の子を死亡させてしまう。何度も告白しようとするができずに月日が流れるお話。ついてないというかタイミングが悪い人っているもので先が気になりサクサク読める。解説によると著者はもうこういうクライム作品は書かないと言ってる。そんなこと言わないで気長にファンとしては待ちたいと思う、映像化するといいなと思ったらもう、しっかり映画化していた・・・2025/04/28

特盛

26
評価3.5/5。12歳の少年がふとしたきっかけで殺人を犯してしまい、その後の人生を描くノワール/サスペンス小説。ドストエフスキーの罪と罰もそうだが、心の葛藤の動き、特に安心と絶望の目まぐるしい落差が巧みに描かれる。内規化された罪の意識と、結末として避けられない(であろうと読者が予感する)何らかの罰。それは外部から与えられるのか、自身で下すのか。ある意味犯罪小説はホラーと同じだなと改めて思った。安全な場所から恐怖を楽しむという意味で。平々凡々とした、後ろめたくない人生が一番なわけであります。2024/08/15

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