内容説明
気鋭の現代美術家が描く、美大青春物語!
カオス化した美大の学園祭で、田舎出の藝大志望の青年は浪人生活を振り返る。心を打つ表現とは。揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作。
佐渡出身で藝大志望の僕は多摩美の学園祭を訪れ、カオス化した打ち上げに参加する。酒を飲み、芸術論を戦わせる中、僕は浪人生活を見つめ直す。表面的なテクニック重視の受験絵画は、個性や自由といった芸術の理想とはかけ離れていた。真に人の心を揺さぶる表現とは。気鋭の現代美術家が、揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作小説。
※この電子書籍は2020年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
氷柱
3
1041作目。1月8日から。フィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなる一作。展開としてはかなり盛り盛りにしているのだろうけれど、言いたいこととしては真なのだと思われる。天才たちもそのベールの向こうでは我々がぼんやりと考えるのと同じものを捉えていたのだとわかる一方で、距離が異なる分より鮮明に、そしてより身近なものとして認識しているということがわかる。何かを突き詰めると芸術に行き着くのだということもほんのり伝わって来る。探求してもし尽くせない独特な世界なのであった。2024/01/10
justdon'taskmewhatitwas
2
芸術への初期衝動と、芸術家として喰って行く話以前の、芸術家の肩書を得る為に10代の若者に突き付けられるオトナな現実。言いたい事の細部と質感を大事にしたいと小説形式にした結果、人物が紋切型になったきらいもあるし、告白内容も想定内と言えば想定内。だが最近の読書がこの本を読む為にあった様な気もして、色々刺さる。ここでも黒田清輝は悪役キャラ。彼の人にもこういう若かりし過去もあったろうに。2024/03/27
たけ
0
★★★★☆ 会田誠さんの多分?、実話。 好きです。 これを読みながら、東京に向かい、山口晃さんの個展に行ったのも一興。 高校の先生、「努力している人が、全員、成功することはない。でも、成功している人は、努力している」という言葉を思い出しました。 妊娠の件は小説としては不要だったかも。2023/10/28