正解は一つじゃない 子育てする動物たち

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正解は一つじゃない 子育てする動物たち

  • ISBN:9784130633734

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内容説明

「進化」で子育てをよみとく新しい試み

ヒトに近縁な霊長類から系統としては遠いが身近なイヌ、ネコ、アリまで、その生活史や子育てのしかたを紹介。ヒトを含めた動物の子育てとはどのようなものなのか、心理学、行動学、進化学に基づき、信頼できる最新の科学的情報を伝え、子育てを相対化する視点を提供する。

~もう“ざんねん”とは言わせない!? 本書に登場する動物たち~
●もともとは「男も女も仕事、子育てはみんなで」だった [ヒト]
●パパもミルクで平等な子育て [ハト、ペンギン]
●助産師もこなす超イクメンザル [マーモセット]
●冬眠中に出産して身を削って子育て [ツキノワグマ]
●分身の術で餌をねだる托卵鳥 [ジュウイチ]
●子殺しからわが子を守る [ノラネコ]
●重複障害児を育てる [チンパンジ]
●子育て経験がなくても里親になる [イルカ]
ほか多数!


【本書「あとがき」より】
本書の執筆者たちは、自らの子育てに苦労しながら、動物の行動を研究する科学者として、少し異なる視点から子育てについて考えられる材料を提供しようと試みています。こうして、さまざまな動物の子育てをずらりと並べてみて見ると、ヒトという動物の特徴が浮かび上がってきます。ヒトは社会生活をする動物です。脳が非常に大きいので、こんな大きな脳を持つ子どもを育てるのは、大変な仕事です。…ヒトの子育てには、血縁・非血縁を含めた多くの他者の協力が必要なのです。これが、ヒトの子育ての原点です。…本書を読んだ人たちも、いろいろな固定観念を崩し、ヒトの原点は忘れずに、より多くの人々が子育てを楽しめる柔軟な社会を作っていってくれることを期待します。


【主要目次】
はじめに(齋藤慈子)
本書での基本事項

I まずは知りたい! 子育てといういとなみ
1 進化の中で子育てをとらえる(平石界)
2 ヒトという動物の子育て(蔦谷匠)
3 「母親」をめぐる大きな誤解(齋藤慈子)
4 卵子・精子・生殖にまつわる不思議(藤原摩耶子)

II みんな同じ…… 子育てをめぐる葛藤
5 出産・子育てをめぐる心と体のしくみ――ラット(後藤和宏)
6 抱っこで落ち着くのはなぜ?――マウス(吉田さちね)
7 おっぱいはいつまであげる?――ニホンザル(山田一憲)
8 ミルクでパパも子育て――ハト(牛谷智一)
9 歌はことばを育てる――テナガザル(香田啓貴)

III どこか似ている? さまざまな子育てのかたち
10 ママのワンオペ孤育て――オランウータン(久世濃子)
11 献身的すぎる? パパのワンオペ――トゲウオ(川原玲香)
12 女系家族の子育てスタイル――アリ(古藤日子)
13 パパは超イクメン――マーモセット(齋藤慈子)
14 ママは放任主義?――ゴリラ(竹ノ下祐二)
15 平等な育児と保育園――ペンギン(森貴久)
16 子育ての正解は一つじゃない――シクリッド(篠塚一貴)

IV のぞいてみよう! 驚きの子育て戦略
17 冬眠中の出産! 身を削っての子育て――ツキノワグマ(小池伸介)
18 進化がとぎすましただまし術――ジュウイチ(田中啓太)
19 意外なイクメンぶり――ノラネコ(山根明弘)
20 失われた父性――オオカミからイヌへ(今野晃嗣)
21 タンザニアの森で障害児を育てる――チンパンジー(松本卓也)
22 子育て経験がなくても里親になる――イルカ(酒井麻衣)

あとがき(長谷川眞理子)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぽけっとももんが

6
新聞の書評で見つけた本。研究者っておもしろい。ありや魚からねこ、いるか、チンパンジーなど、いろんな生き物の出産や子育てについてそれぞれ子育て中の研究者21人の研究結果と、我が子の観察と反省(動物研究者やその配偶者って大変そう。研究対象が研究室にあるわけじゃないし)を語る。みなさん冷静に自分の親ばかさを分析していたりしておもしろい。そしてタイトル通り育児に正解はないし、できればいいとこどりしたいところだ。2020/02/09

1984

4
数十の動物の子育てスタイルについて,専門の研究者による紹介。例えば授乳・給餌の仕方も父親・血縁者の参画も種によって異なるが,そうした形態が形成された経緯・適応的理由が説明されていて興味深かった。なんらかの総合考察・まとめがあればよいなとも思ったが,それが不可能なほど子育てのスタイルが抽象できない,ということが読み取れればいいのかもしれない。2022/01/03

4
子育てに「正しい方法」は存在しない。人間に関しても、その他多様な動物に関しても面白くて示唆に富んだ内容だった。2020/03/07

Junichi Kitazawa

4
子育てしてる人もした人もこれからする人も、それ以外の人も読むべき本 産業化に伴うサラリーマン家庭出現により女性が育児家事を主に担うようになったとしたら、性別役割分業が「日本の伝統」だと言う人たちの伝統って薄っぺらいねえ2019/12/22

takahiroyama3

3
面白い本。ゴリラに学ぶ「しつけは社会で」、イルカから学ぶ「他者を助ける」、魚類(シクリッド)に学ぶ「正解は一つじゃない」など印象的でした。当たり前ですが、人間の子育ても動物の中で相対的なものですね。また、執筆者は全員子育て中の生態学者というのもすごいところです。子育てを主体的に行いつつ、客観的に子育てを見つめる彼らのまなざしから得るものは多いように感じました。2021/03/09

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