アロエ

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アロエ

  • ISBN:9784861108372

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内容説明

遠いニュージーランドの夏の思い出。三世代の女性の日常を繊細な筆致で描いた名作「プレリュード」。生前には出版されなかったそのロング・ヴァージョン。
著者没後100年、初の邦訳。短編「ケザイアとトゥイ」「パットのこと」も併せて収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

58
短い生涯で日常の綾とそこに投影されて沈殿される心情の襞を丹念になぞり合わせた様な短編を執筆したキャスリン・マンスフィールド。これは彼女の唯一の長編であり、同時に彼女が自分の為に書いた半自伝的小説だ。だからこそ、徐々に周囲に無感動になりつつある母リンダに対する少女のように夢見がちで辛辣な叔母、ベリルとの口論の後の出来事は衝撃的。首を切られても歩く家鴨は死んだように生きる事を象徴していたのか。「ケザイアとトゥイ」でのケザイアがある一夜に対し、「この瞬間を覚えておこう」という気持ちからの思考に懐かしさを覚えた。2024/02/05

くさてる

19
短編の名手として知られるマンスフィールドが唯一残した長編。馥郁たる、とはこういう文章をいうのかもしれない。引っ越しの風景と屋敷や庭の描写、そこに揺れる子供の目線に映る家族の情景、不安、といったものでこの話は成り立っているし、話として成り立たなかったとしても、問題なくそこに世界はある。とても良かったです。2026/01/30

裏竹秋

1
家族のひんやりとした空気がよく伝はってくる。ジワジワと妻のものぐさな性癖や、かっちりとした夫の性格、おぼつかない程度の不和が伝はってくる。しかし、一等うまいのは人物の心境と、こどもの描写だ。こどもがうまい小説に外れなし――これは経験則だけど、今のところ外してゐない。1章でのひっこし後のがらんとした家の空気。くらやみをこはがるケザイアの空気がいい。えたいのしれなさの表現がたくみだ。そして4章のアヒルのシーン。純粋と残酷のグロテスクさに感嘆して、思はず〈ほんとうに起ったこと〉なのではないかと空恐しかった。2025/12/29

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