内容説明
殺人犯は、13歳。
法は彼女を裁けない――。
映画化で話題の『法廷遊戯』に続く、衝撃ミステリー!
狐の面をつけた少女が、監禁した大人を次々に殺害する事件が発生した。
凶器はナイフ、トンカチ、ロープ、注射器。
常軌を逸した犯行は、ネット上で中継された。
彼女は13歳の「刑事未成年」で、法では裁かれない。
「だから、今しかないの」――。
ミステリー界の話題をさらったデビュー作『法廷遊戯』に続く衝撃作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おぬち
42
加害者の姉と殺された被害者の遺族がお友達同士。なんて狂気じみている設定と思ったけど、理由があったのね…。途中はしかめっ面になりながら読み進めたくらい痛ましかった…。少年犯罪はやり直せると信じたい反面、生まれ持ったものは直らないのではという気持ちもある…。このような題材は本当に深く考えてしまう…2024/04/25
坂城 弥生
38
重い話だった…2023/11/20
mayu
33
衝動を溜める受け皿を持たない、生物学的要因によって非行に走ってしまった少年はやり直せるのか。難しくてなんて考えさせられるテーマなんだろう。まともな大人が周りに存在しない環境、次第に大人を信用しなくなり嫌悪感さえ抱く少年たちの心は固く閉ざされている。自分達でどうにかしようとして藻掻く姿にもうやめてあげてくれと叫びそうになる。若い家庭裁判所調査官の少年達と真摯に向き合う姿と「やり直せるから、少年なんだよ」という言葉が強く残り、気づいたら没頭して読んでいた。引き込まれて読むのがやめられなくなる一冊。2023/10/17
よっち
33
どんな少年も見捨てない若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼。そんな彼が狐面の少女の凄惨な殺人事件に遭遇し、信念を大きく揺さぶられる青春リーガルミステリ。十三歳の少女が犯した連続殺人事件が抱える不可解な共通点。被害者遺族の男子高校生を担当していたことから、思わぬ形で真相に迫ってゆく真昼。明らかになるたびに事件を巡る構図も大きく変わっていって、追い詰められてゆく少年少女の悲壮な決意には胸を締め付けられましたけど、意外な形で示唆されたもうひとつの可能性に、つい複雑な想いを抱いてしまう結末がとても印象に残る物語でした。2023/10/13
なみ
21
狐の面をつけた13歳の殺人犯は、法で裁かれることはない。 罪を犯した少年は、教育的アプローチで誰でもやり直せるのか。原因が社会的なものではなく、生物学的なものだったら──。 少年犯罪について考えさせられる作品でした。 間違いなく不幸なはずなのに、それでも最善を見つけ出そうとする子どもたちに、胸が苦しくなります。 もちろん、ミステリとしても素晴らしかった。 一見、関係のない事件が繋がっていく構成に圧倒されます。 1人でも多くの不可逆少年が救われるような世界になってほしいと願わずにはいられません。2023/10/27