内容説明
人気作家・柚月裕子ができるまで――。文庫オリジナル、エッセイ集。
2008年のデビューから2023年現在までの15年間の軌跡を辿る。温かな言葉で綴られた、笑いと涙あふれるエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
162
柚月作品は大大大好き。作家生活15周年の初エッセイ集と来たら読まずにいられない(読友さんありがとう)真面目な方なんだ!というのが一番先に感じたこと。『仁義なき戦い』からの『孤狼の血』ってのがしっくりきた(笑)柚月さんの中にあの震災が色濃く占められているのも宜なるかな・・(たしか実母は癌で亡くされていて、既に再婚されていた両親を震災で・・)あの日を境にというのは誰しもあるかもしれないが、もう会うことが叶わないというのは切ない。「面白かった」という準備は出来ている私なので、これからも期待してしまう。2023/11/30
のり
82
高田郁・宮下奈都・今村翔吾、そして柚月裕子でエッセイ集は4冊目になった。作家15年とは意外にもデビューはそんなに早くはなかった。しかし幼少の頃から本を手にする機会に恵まれ、好きが作家にまで上りつめた。下地はきっとあったのだろう。しかし、東日本大震災で家族を失った。その失意ははかり知れない事だったろう。それでも彼女は次々と良書を書き続けてくれた。これからの活躍にも期待する。2024/02/27
mike
81
柚月さんが、慣れ親しんだ美しい自然の風景や、母と触れ合った日々の想い出、自分が歩んで来た道に思いを馳せながら綴った優しくて温かい15年間のエッセイ。山形と本と猫への溢れんばかりの愛がいっぱい。「孤狼」や「盤上」といった名作の誕生秘話はとても興味深い。三陸で生まれた彼女はあの津波でご両親を亡くされているそうだ。最後まで読むと、このタイトルに込められた想いが強く伝わって来る。柚月裕子という一人の女性を私は増々好きになった。2024/03/15
Ikutan
79
柚月さん初めてのエッセイ。作品にまつわるお話は何れも興味深く拝読。作品のイメージとは異なる私生活も垣間見れます。幼少期は引っ越しを繰り返し、若くに結婚、出産され、40歳を過ぎてからデビューされたこと。東北の出身で、ご両親を震災で亡くされたことなど、たくさん作品を読んできましたが、知らないことばかりでした。特に震災後の内容は重く印象的で、あの日を境にして柚月さんの心情が大きく変わったことが分かりました。柚月さんのなかに流れるふたつの時間。そこから生まれる新たな作品を楽しみにしたいと思います。2023/12/11
小説を最初に書いた人にありがとう
54
2008年のデビューから2023年現在までの15年間の軌跡を辿る。温かな言葉で綴られた、笑いと涙あふれるエッセイ集。 東北の地震による被災体験など、作者のバックボーンを感じられた。どの話からも真面目さと誠実さを感じて、これからも読み続けたい作家さん。2024/01/31