露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析

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露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析

  • 著者名:立木康介【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 河出書房新社(2023/10発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309246376

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内容説明

凶悪犯罪のたびにメディアで語られてきた「心の闇」。
しかし現代の犯罪者は、ほんとうに「心の闇」をもっているのだろうか。
むしろ彼らの心に「闇」がないことが問題なのではないか。
私たちの心から「闇」が失われつつある。
それこそが、現代の危機、心の危機をもたらしているとしたら?
“心の露出を強いる文明をラカン派の俊英が問う、
亀山郁夫、市川真人氏絶賛、衝撃の評論!

《露出》の強制、それこそは、21世紀グローバル化時代の〈人間学〉が立ち向かう究極のテーマだ。
人間は、すでに新しい歴史ステージにある。……亀山郁夫

80年代ニューアカを愛したひとに。90年代に育ったひとに。
そして00年代にもの足りなかったひとに----つまりこれは僕たちのための本だ。……市川真人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

13
無責任にも極端なことを言い放つドゥルーズ読みなどに比べれば、臨床的要請にも取り組まなければならないラカン派は割と常識的な文明批判に落ち着くのが定番(ノマドよりは父の名だから)。あ○る優の例の件でも隠匿され抑圧されるはずの心の闇が堂々とテレビで語られ、精神分析が扱ってきた抑圧が働く無意識の思考を放棄して生物学的・統計学的・条件反射理論的にしか物事が処理されなくなっている時代状況をハイデガー、アガンベン、ラカン理論をまぶしつつ読解。普通精神病、普通倒錯、症状など新しい議論の簡単な紹介もあって読み易いけど濃い。2015/08/31

磁石

8
現代社会において心に闇を持つなどありえない。すべてが明るみに出される、出されなくてはならない、出す方が好ましい。それが例え、本来なら胸に秘めるべき破壊・殺戮衝動であったとしても。そのような考え方が広がっている。それはまだ、強制されるレベルにまで・そのような常識ができるまでには達してはいないけど、そこに向かおうと進んでいる。自ら進んで、監視社会を作り出そうと日夜励んでいる。……ブッタが悟りを開く前に、着ている物全て取り払って裸になったと言うけど、アレと同じことなのだろうか。2015/02/24

きつね

8
連載を通読して以来久しぶりの通読。理論にあてはめて現代文化を語るという安易な形に陥らないところが巧い。文藝に連載されたこともあり、文学への言及がところどころうまく効いていて面白い。もっと読みたい。 291「症状のないところに主体はないのだとすれば、精神分析を利用しない人もまた、自分の症状=パートナーとつきあってゆかねばならない。すなわち、それが不幸や苦痛をもたらすときには、自分が囚われている享楽モードを変更する努力をしなければならないし、それが自分に足りないものを適切に補ってくれないなら、それを立て直した2013/11/29

武井 康則

7
フロイトによると社会的権威を内面化すると超自我になる。考えてはいけない邪なことは無意識に抑圧される。そのエネルギーが神経症になる。ところが社会的権威が無くなって自由の領域が増えて無意識が縮小した。確かに統合失調症とか症状が軽くなったが、その分幼児のような万能感を持った人間が増えた。自分の好きが通らなければ切れる、暴力をふるう。最近のニュースの通りだ。そんな無意識「心の闇」をネット等で暴露して恥じない時代の考察が面白く、2019/12/04

ルンブマ

5
2度目。現代ラカン派の、ミレールたちが標榜する「無意識に取って代わる存在としての話存在」とは、倒錯的に、認知行動療法やヨガやマインドフルネスの人々の「無意識なんてどうでも良い」という態度に擬態することによって、彼らと同調している「ふり」をしつつ、ある種詐欺的に彼らを妖しさ=無意識の中へと誘い込むためにあるのかなと思った。カッコいい〜2022/02/04

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