内容説明
『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。
この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。
「わたし」の体と生きづらさを見つめる珠玉の短編小説集。
わたしを生きるための言葉。#Imissme ――わたしに会いたい。
コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。
・「わたしに会いたい」――ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」がわたしに会いに来る。
・「あなたの中から」――女であることにこだわる「あなた」に、私が語りかける。
・「VIO」――年齢を重ねることを恐れる24歳の私は、陰毛脱毛を決意する。
・「あらわ」――グラビアアイドルの露(あらわ)は、乳がんのためGカップの乳房を全摘出する。
・「掌」――深夜のビル清掃のアルバイトをするアズサが手に入れた不思議な能力とは。
・「Crazy In Love」――乳がんの摘出手術を受けることになった一戸ふみえと看護師との束の間のやり取り。
・「ママと戦う」――フェミニズムに目覚めたママと一人娘のモモは、戦うことを誓う。
・「チェンジ」(書き下ろし)――デリヘルで働く私は、客から「チェンジ。」を告げられる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
385
西 加奈子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。頁数は少ないですが、著者の強烈なメッセージ、世界&社会に対する怒りが込められた5年ぶりの装幀の柔らかさとは対極のエッジの効いた凄まじい短編集でした。 オススメは、『V10』&『あらわ』です。本書で『V10』と言う言葉の意味を初めて知りました。今年のBEST20候補です。 https://lp.shueisha.co.jp/imissme/ 【読メエロ部】2023/12/10
さてさて
332
『それが、わたしが「わたし」を意識した最初の瞬間だった』。『ドッペルゲンガー』というまさかの存在が描かれていく冒頭の短編〈わたしに会いたい〉を含め、インパクトある物語展開にギョッとさせられること多々な短編ばかりが収録されたこの作品。そこには、生きづらさの中に日々を送る8人の女性の物語が描かれていました。あまりにも生々しく、極めて赤裸々な描写の頻発に驚かされるこの作品。女性にしか書けない、女性ならではの表現が全編に満ち溢れたこの作品。「わたしに会いたい」と、女性が発する心の声が聞こえてくるような作品でした。2025/04/01
ムーミン
213
迷い、葛藤、怒り‥‥強い感情がぶつかってきました。2024/03/08
うっちー
196
『すばる』作品と『文藝』作品の違い、『すばる』作品の方が良かった
みっちゃん
176
わたしはわたし。この身体も心もわたしのもの。誰か別の人間のフィルターを通した「こうあるべき」姿、そんなの関係ない。縛られる必要は全くない。そしてその大切なものが蔑ろにされた時は怒っていいんだよ!生きづらさを抱えるひとたちに送られた、作者からの真っ直ぐで力強いメッセージ。以前から感じてはいたが『くもをさがす』の経験をされて、その思いがさらに鮮明になったのでは、と推察する。2024/02/04