内容説明
父親が猟奇殺人を犯し「悪魔の子」と噂される少年、良世。事故で娘を失った過去を持つ翔子は、亡くなった姉の忘れ形見である良世を育てることになるが、口を閉ざし、何を考えているかもわからない。なんとか彼を知ろうと寄り添うも、ある日机で蟻の「作業」を
している姿を目撃し――。人を信じ育てることの難しさと尊さを描く、感涙のミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
37
殺人犯の父を持つ良世は小学生4年生。姉の忘れ形見の良世を引き取り、育てることとなった翔子は良世と同じ年の自分の子を幼くして事故で無くしている。重いテーマの作品だが、日々の生活の中に家族らしい関係も垣間見ることができる。信じることの難しさ、大切さを感じた。2023/11/01
おくしょー
6
小林由香さん3冊目。 新潟で起きた悍ましい猟奇殺人。逮捕されたのは姉の夫だった…。殺人犯の子でもあり、出産で亡くなった姉の忘れ形見でもある、息子の良世を引き取ることになった翔子。翔子自身、事故で娘を喪った痛みを抱えながら生きていて、始めは腫れ物に触るように良世と接していたが… 翔子が娘を亡くした経緯がもう辛くて😭 そして良世の抱えていたものが苦し過ぎて…😔 小学校高学年の多感な時期に辛かったね。人は誰しも善悪両面持っていて、出会う人や環境で運命は変わっていく。どうか彼が良き世を生きていけますように。2023/11/12
やまた
4
猟奇的な事件の犯人は義兄だった。姉が亡くなっているので、その息子である良世を引き取るが、その子のことが信じきれない…。いかにもな猟奇的な絵を描くとか、仲良しのはずの親子が実はいじめの首謀者、とか、、なんとなく都合のいい感じでどんでん返し感を設定しているように感じてしまった。でもすらすら読めた。2024/03/20
かずぺん
3
とても重たい物語でした。実際にこのような状況はあるのでしょうね。色んな世界があることを意識して生活しなければならないと思い知らされました。2023/12/21
himanaka
2
これは再生の物語。人を育てるとはどういうことか、信じるとはどういうことか。不穏な空気が最後まで纏わりつき、読むのをやめられない。子どものレジリエンスの力を信じたくなる一冊。2024/04/02