内容説明
創始者自らが森田療法の核心を説く、不朽の名著。
神経衰弱とは何か、健康と疾病、神経質の本性、強迫観念の治療法、赤面恐怖症の治癒など、さまざまな角度から神経症を解説する必読の原典。
目次
はしがき
1 神経衰弱とは何か
2 神経質の本性
3 神経質の症状
4 健康と疾病
5 職業と神経衰弱
6 神経質の実例
7 強迫観念とは何か
8 強迫観念の性質
9 思想の矛盾
10 思想の矛盾と強迫観念
11 強迫観念はつねに事実と反対になる
12 強迫観念の治療法
13 生の欲望と死の恐怖
14 涜神恐怖と赤面恐怖患者――通信治療の例
15 赤面恐怖症治癒の一例
16 神経質治療の実例
17 神経質療法による治療成績
18 宇佐玄雄氏の「森田氏神経質療法による治療成績」
解題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あこ
21
強迫観念について学びを深めたくて読んだ。それでどうすべきかがわかったようでわからなかった。再読したい。2019/04/06
Asakura Arata
4
患者さんとの日記でのやり取りが面白い。入院森田療法の臨場感がでていた。 医者は、物質療法(薬物療法)に頼り、売薬広告は、患者の不安をあおり、神経衰弱症が増加する。と言うようなことを言っていて、今の状況が90年近く前とさして変わりないことが分かる。また。森田は神経質や強迫観念症は、クスリでは治らないと言っている。これも、基本的に変化していないと思う。クスリはあくまで対症療法だと思うので。2013/07/04
富士さん
4
心の病というのは結局は自分で治すしかないんでしょうね。ここで医者がしていることは「あるがまま」に委ねさせて患者の自然治癒を促しているに過ぎない。これ以上の“治療”はおそらく宗教の領分になってくるのでしょう。しかし、医学の権威を傘に来て自分の考えを患者に押し付ける欲望に勝てない医者たちに比べて、著者はとても禁欲的で良心的です。長い間苦しんだ病気を無碍に否定することは患者の人生を否定することです。大成は欠くるが如く、多憂息災こそ最上の喜びとすることが出来た人こそ真に人生を楽しんでいると言えるのでしょう。2013/08/25
akir@t
3
森田療法は知っていたが、森田先生が主張する、この内容は濃密で奥が深く、面白い。しかも、これが大正時代に書かれているのに変わらない。人の心の真実だなあ。2011/08/22
ざらお
2
森田療法の良いのは、気休めの心理本と異なり徹底して手厳しい所にある。人は苦しい時、ともすればやさしい言葉に惹かれがちなもので、マインドコントロールに憧れる。妙な自己啓発の類が流行るのもそういうことだと思う。森田は苦痛は苦痛として受け止め、苦しかろうと辛かろうと目前の仕事に手を付けるべしというのみである。その厳しさこそが真であり、本当に神経質を持つ者には必ず刺さるものと思われる。意識を改革しようとか、そういう胡散臭い言葉に溢れたビジネス、自己啓発の書の類は毒にも薬にもならぬが、森田の本はどれも劇薬と言える。2021/04/20