内容説明
漢意を排斥して大和魂を追究し、「物のあはれを知る」説を唱えたことで知られる、江戸中期の国学者・本居宣長。伊勢松坂に生まれ、京都で医学を修めた後、賀茂真淵と運命的な出会いを果たす。以来、学問研究に身を捧げ、三十有余年の歳月を費やし『古事記伝』を著した。この国学の大成者とは何者だったのか。七十年におよぶ生涯を丹念にたどりつつ、文学と思想の両分野に屹立する宣長学の全体像を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
329
本書は本居宣長を扱った一冊。当時解読困難と言われた古事記を一言一句検討しながら、解読し、時には論争も重ねながら書き上げる姿に驚く。当時の論争も今と似ているなと感じた。また本居宣長が確かに今の保守派の様な皇国史観を掲げているが、鎖国時代には普通の議論だったとのこと。日本史上有力な学者の1人だと感じる。それにしても今流行りの終活をそこまで先取りしていたことにも驚いた。2015/11/23
ころこ
40
カントと同時代人なのに、なぜこんなにも知らないのか。基礎知識がない状態で読んで気付いたのは、宣長がアカデミシャンでなくて在野研究者であり、町人であったという点です。ただ古い文献を好事家が読んでいるということではなく、文献実証主義的に文献と注釈の区別があり、その中でも近代的な方法論が議論になっています。前半生のああでもない、こうでもないと様々なところを渡り歩いていることに目を向けるべきでしょう。内容の良し悪しはまだ判断ができませんが、近代の問題を考えるのに、プレ近代をみない訳にはいきません。2019/04/21
双海(ふたみ)
30
将来、全集を揃えようと思っている文筆家が何人かいますが、その内のひとりが宣長大人です。和本も集めています。何分勉強不足で感想など書けません・・・。2015/07/07
MUNEKAZ
17
本居宣長の評伝。実証主義的な国文学研究と、超ファナティックな国粋主義的主張のギャップに、まずはクラクラする。まぁ今でも立派な研究者が、政治的なこと話すと「ありゃりゃ」なこともあるから、そういうことかなとも。肯定的に見るなら、すべてが理想的だった神代の世という絶対の確信が根底にあるからこそ、中世以来の古典文学の常識に捉われず、実証的な研究に取り組めたのかもしれない。古風と後世風を詠み分ける和歌への向きあい方など、宣長のことを総合的に知れる良い本だと思う。2026/05/18
かんがく
14
本居宣長の業績を、10年ごとに区切って記述。それほどドラマチックな人生でないので、伝記としてはあまり面白くない。ただ、まえがきやあとがきで著者が語るように、この記述法は偏った宣長像を正すためであろう。宣長の寛容さ、論争好き、師匠の真淵との関係などが、豊富な引用とともによくわかる。古事記など歴史研究については知っていたが、和歌研究についてはあまり知らなかったため知れてよかった。2019/02/18
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