内容説明
つばめのように自由に、気ままにこの日本を歩いてみたい――。世界を歩き尽くしてきた著者の、はじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。それから歳も経験も重ねた今、同じ土地を歩き、変わりゆくこの国のかたちを見て何を思ったか。本州「北の端」龍飛崎、太宰治の生家を訪ねた五所川原、宮沢賢治の足跡を追った花巻、美景広がる軽井沢や兼六園などを歩いて綴った、追憶の旅エッセイ。〈電子オリジナル版〉は沢木耕太郎撮影の写真が収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
115
日本各地を訪れたときのエピソードの数々にハラハラしたりじーんときたり。情景が浮かぶ鮮やかな文章に引き込まれます。「今が、ときだ」もっと気楽に軽やかに旅を楽しみたいと思わせてくれる一冊でした。 2024/06/03
kinkin
105
16歳のときに国鉄の安い切符で訪れた青森。そこで感じたこと、それから数十年後に訪れた青森のこと。 縁のこと、神社、登山家の山野井夫妻との交流、檀一雄や吉行淳之介のこと、高倉健との会話など他、旅や人とのエピソードで構成されている。巻末に書かれていた 以下抜粋「旅においても、他の多くくのことのようにネットで調べてから行動を起こすというのは、失敗することを過剰に恐れる現代の若者の傾向に見合っているように思える」考えてみれば若者でなくても行動を起こすときはまずネットで調べていつのころからか当たり前になっている。 2024/04/01
ふじさん
100
沢木耕太郎の初の国内旅のエッセイ。彼の旅の原点は16歳の東北一周旅行。自分が旅したことのある場所の話は、懐かしさいっぱい。又、彼の著作「凍」「檀」「春に散る」等に纏わる話は、改めて作品を思い返すきっかけとなった。太宰治の生家を訪ねた旅や宮沢賢治の足跡を訪ねた旅は、彼らの作品を彷彿させる楽しさを味わえた。彼の作家としての蘊蓄や多くの人々の出会いから生まれた数々の話は、どれも心を豊かに包んでくれた。旅でしか味わえない出会いや楽しさがあることを再認識させられた。 2023/12/19
涼
88
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-b0c256.html 「旅のつばくろ」という言葉には、何だか哀愁があります。 子どもの頃聞いた「サーカス暮らし」の歌を思い出すからかもしれません。 著者初の「国内旅エッセイ」です。2023/12/26
じいじ
84
沢木さんの旅エッセイは、とりわけ日本人観光客が団体を組んで行かない、否行けない土地なので面白いです。私ももう少し身体が頑丈なときでしたら、沢木さんのあとを追って、自分の足で歩いてみたいです。今作は「国内編」です。ここに登場する、沢木さんが自身で歩いた「地」は、80余年間、行ったことがない兼六園など、いくつもありました。どうも読むのが20年ほど遅かったようです。でも、沢木さんの軽妙な筆致で、存分に愉しませていただきました。2023/11/15