内容説明
男だって、泣いていいんだよ!
転んで泣く小さな男の子をみて、「泣くな、男だろ」と小声で呟く。そして、立ち上り駆け寄ってきた子を、「よしよし、偉いぞ」と頭を撫でてやる。強くあれ、雄々しくあれかしと、日本の男の子は育てられてきた。
いつからか。
日本の古典を紐解くと、英雄豪傑ほど派手に泣いている。「男泣き」という言葉もある。
そして、「なく」ことを示す字の多いこと多いこと。
啼、泣、号、呱、慟、啾、喞、これらはすべて「なく」ことを著わした字である。悲しくて泣く、大声を出して泣く、子供が泣く、遠くまで聞こえるほど泣く、声が出ず涙を流して泣く、さらにいえば,涕泣、慟哭、嗚咽、泣血、哀慟、歔欷、さめざめと泣く、めそめそと泣く……。
本書は、古典に見える泣く男の姿百態を辿りつつ、「男泣き」の実相に迫ろうという試みである。
材は主として、記紀、万葉、古今の歌集や、伊勢、平家、太平記など文学史書の類から採った。
トップバッターは須佐之男命! そして倭建命、大伴家持ときて、やや色好みの涙、在原業平、源頼政、泣きそうもない木曽義仲を経由して、楠木正成と豊臣秀吉、最後は吉田松陰でしめる。
もう、全編泣いてばかり。そう、男だって、いや、男だからこそ泣いていいんだよ、という本なのである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
4
ふむ2024/05/11
やっこ
0
現代の「男は泣くな」という価値観と、古典に見る「男泣き」の対比 須佐之男命(スサノオノミコト)、倭建命(ヤマトタケルノミコト)、大伴家持、在原業平、源頼政、木曽義仲、楠木正成、豊臣秀吉、吉田松陰など、古典や歴史書に登場する「泣く男」たちが章ごとに紹介 古典には「啼」「泣」「号」「慟」など、さまざまな「泣く」を表す漢字があり、その表現も「慟哭」「嗚咽」「泣血」など多様 英雄や豪傑ほど、悲しみや感動、天下国家への思いなどで大泣きしている姿が描かれている 2025/05/09
ちもころ
0
古典原著の引用、筆者の説明、どちらも文体からして読み慣れないため難しく、読むのが非常に大変だった。古の英傑たちが死に際などに涙するシーンを解説するのだが、凡人である自分にはあまり共感できなかった。 ふと思い浮かんだけど、自分は天才だと思っていたであろうかつての上司も、死に際にきっと泣くと思われる。こういう男は嫌い。身近にいると消耗が激しすぎて迷惑。 その他、同じ和歌でも出典によって場面描写がよりドラマ仕立てになったりするらしい。国文学者はこういう研究をするんだな。勉強になった。2023/11/23
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