内容説明
哲学の最高峰、井筒俊彦のベールを剥ぐ―
没後三十年を迎える今、著者は二十年に及ぶ研究と独自のインタビュー調査にもとづき、
その謎に満ちた生涯と思想の全貌を描き切る、待望の井筒論。
東洋と西洋、無と光の哲学、魅力と危険性―
鎌倉とモントリオール、テヘランを主な活動拠点に、日本語だけでなく英文で数々の著作を著し、「人と会わないことで有名だった」という哲学者の生涯は謎に包まれ、常に両義性を孕んでいたその思想の全貌もまだ解明されていない。
著者は、思想的原点たる『神秘哲学』『言語と呪術』から遺作に至るまで全著作を網羅し、さらには関係者による証言をもとに「井筒俊彦」を生み出した、家族や大川周明、西脇順三郎、折口信夫ら「師」との関係、そして、戦時下におけるアジア主義やイラン革命との関わり合いに迫りつつ、東洋と西洋、自己と他者が深層において結び合わされる「東洋哲学」を築き上げた、哲学的営為の全貌と可能性を追究する。
目次
はじめに
第一章 原点―家族、西脇順三郎、折口信夫
第二章 ディオニュソス的人間の肖像
第三章 始原の意味を索めて―『言語と呪術』
第四章 戦争と革命―大東亜共栄圏とイラン革命
第五章 東方の光の哲学―プロティノス・華厳・空海
第六章 列島の批評―「産霊」の解釈学
終章 哲学の起源、起源の哲学
Ⅰ 井筒俊彦と空海
Ⅱ 井筒俊彦とジャック・デリダ