母を失うこと

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母を失うこと

  • 著者名:サイディヤ・ハートマン【著】/榎本空【訳】
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 晶文社(2023/09発売)
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  • ISBN:9784794973764

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内容説明

歴史を ぎ取られ母を失った人々の声を時を超えてよみがえらせる、現代ブラック・スタディーズの古典的作品にして、紀行文学の傑作。

「歴史が個人の物語になるとき、ソウルを揺さぶる一冊になる」
──ブレイディみかこ


ブラックスタディーズの作家・研究者、サイディヤ・ハートマンが、かつて奴隷が旅をした大西洋奴隷航路を遡り、ガーナへと旅をする思索の物語。奴隷になるとはいかなることか? そして、奴隷制の後を生きるとはいかなることか? ガーナでの人々との出会い、途絶えた家族の系譜、奴隷貿易の悲惨な記録などから、歴史を ぎ取られ母を失った人々の声を時を超えてよみがえらせる、現代ブラック・スタディーズの古典的作品にして、紀行文学の傑作。

わたしは、消滅した人々の残余を発見するという目的とともに、ガーナに降り立った。(…)奴隷制という試練がいかにして始まったのか、理解したかった。いかにしてひとりの少年が綿布二メートル半やラム酒一本と、そしてひとりの女性がかご一杯の宝貝と等価になったのかを、了解したかった。類縁と他者を隔てる境界を越えたかった。名のない人々の物語を語りたかった──奴隷制の餌食となった人々や、捕囚を免れるために辺鄙な、荒漠とした土地へと追い込まれた人々の物語を。(「プロローグ」より)

【目次】
プロローグ よそ者の道
第一章 アフロトピア
第二章 市場と殉教者
第三章 家族のロマンス
第四章 子よ、行け、帰れ
第五章 中間航路の部族
第六章 いくつもの地下牢
第七章 死者の書
第八章 母を失うこと
第九章 暗闇の日々
第十章 満たされぬ道
第十一章 血の宝貝
第十二章 逃亡者の夢

訳者あとがきにかえて──『母を失うこと』についてのノート

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

89
アフリカン・アメリカン研究者は奴隷の末裔としてアメリカからガーナにやって来た。旅の目的は、大西洋奴隷航路の道で「使い捨てられ、打ち負かされた者たちを探す」こと。これは著者の出自をたどるライフヒストリーではなく、黒人奴隷がどのようにこの地から旅立ったかを探るもの。奴隷貿易では、部族間の争いで捕らえられた黒人奴隷は、アフリカの通貨である宝貝の貝殻で売買され、小屋に拘留され、船倉に留め置かれ、そして大西洋奴隷航路の道をたどる。そのうち5人に1人は、道半ばで亡くなっている。→2023/12/06

Neishan

6
ブラック・スタディーズの研究者でコロンビア大学教授のアフリカ系アメリカ人が2007年に刊行した作品。自らアフリカに赴いた彼女が、何ら手がかりも協力者もなく、「アメリカの黒人」として冷ややかな目で見られながらも、アフリカとそこに生きる人々に出会い、苛烈な奴隷制の歴史をひも解いていく。紀行エッセイのように著者の息遣いが感じられる。学術的なのに文学的。といって優しく情緒的なものではない。奴隷制の時代の過酷な描写は長く、重い。しかし、読み終えた後には著者の旅に少しだけ寄り添ったような不思議な達成感が湧き上がった。2023/11/05

Ujiro21

5
通勤用に。翻訳大賞関連で。ブラックがルーツを求めた先に待ち受けている実情。喪失感とも違い明白な困惑でもなく。面白い。ただ、突然始まる固有名詞や時代を明示せずに展開される話についていけないこともしばしば。新書の奴隷船やキング牧師を読み直して補完したくなった2024/04/18

yoshiko

1
知らなかったこともいっぱいある本。文章表現がとっつきにくく、頭に入らなかった部分も結構あって、最後は飛ばし読みだったけれど。奴隷を搾取したのは白人だけではないこと、中間搾取した富裕層の黒人もいる。その事実は今もなおアフリカ黒人社会に影を落とす。悲しい奴隷たちを生み出したのは、人種ではなく富に目が眩んだあさましい人間だった。奴隷になるということは、父母兄弟、家族を失うということ、という旨の文章パンチ力。キリスト教布教は奴隷貿易の足がかりだったという話が言及されてて、改めて我々の祖先の慧眼に感謝した。2024/04/11

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