内容説明
あなたの幸を希う以外に何物もない――。鹿児島県知覧の特攻隊基地から飛び立った穴沢利夫少尉。二十三歳で散った法学徒が婚約者・智恵子へ宛てた便りには愛する者への一途な思いと純粋な真情が綴られていた。戦後六十年以上を経て、婚約者が語り尽くした、あの時代の現実とある愛のかたちとは。全面改稿を施したロングセラーの新版。
【目次】
まえがき
第一章 出会い 図書館から戦場へ
第二章 覚 悟 マフラーになりたい
第三章 婚 約 たった一晩の子守唄
第四章 特 攻 あなたをたどる旅
生きる時代は選べない――新潮文庫版あとがき
新版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぴー
56
戦後80年ということで、書店に並んでいた本書を手に取り読んでみた。特攻隊の方々は、今の自分より若く、人生これからってときに…など色々と考えてしまう。感想にまとめるのは難しい。もし機会があれば、実際に知覧に出向き、平和学習をしてみたいですね。2025/08/18
背番号10@せばてん。
39
あなたの幸を希う以外に何物もない ──。鹿児島県知覧。かつて陸軍特別攻撃隊(特攻隊)の拠点となる飛行場がおかれた町。本書は23歳で散る、穴沢利夫少尉の婚約者、伊達(孫田)智恵子さん視点のノンフィクションです。検事を目指し、法律を学ぶ穴沢氏を軍に志願させる当時の価値観。本書を編む著者の筆は覚束なさが残るものの、引用される書簡や日記の文面が往時のありようを克明に映しています。人を駒に使う愚かな時代。それでも人は、いかなる時も、愛し、願う、人生がある。戦火の時も、平和の時も、いつでも、どこでも、誰でも。2025/08/12
森林・米・畑
29
生きる時代は選べない。まさにその通りだと思う。祖父が陸軍で兵隊さんだったので子供の頃、戦時中の話はよく聞かせてもらった。本心はともかく、自我より日本国の為に死ねるなら本望といった時代。戦争体験者が少なくなり、貴重な内容だった。私もこの時代に生きていたなら、そういう教えを受けて、その時代の生き方をしていただろう。2024/02/23
oooともろー
8
このような方々がたくさんいらっしゃったのだろう。美化してはならないが、繰り返してもならない。2025/07/24
まゆこ
6
★★★★☆2024/08/22