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内容説明
「外来を受診する成人期の発達障害には、うつ病など従来の精神疾患で通院する人とは、異なる点が多い。何よりもまず彼らは普通の人たちで、一般の社会人だということである。受診する大部分の人はフルタイムかそれに近い仕事をしていることが多い。休職したり職がない状態であったとしても、仕事への意欲は十分に持っているケースがほとんどである」(岩波氏)。近年、「ギフテッド」(平均をはるかに超える知的能力を持つ人)が称揚されるなかで、天才とADHD(注意欠如多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)を結びつける傾向が強い。だが一方で上記のように、精神科を受診する発達障害の成人の多くは、働く社会人である。彼ら、彼女らは幼いころから積み重なった「周囲となじめない」負の記憶や、職場で浮いてしまうという悩み、問題行動による解雇などに苦しみ、自らの人生を何とかしたいと考えている。はたして、発達障害の特性にマッチした職場環境は得られるのか。薬物療法には効果があるのか。就労支援の制度や社会復帰のトレーニングをどう活用すればよいのか。「発達障害の人は働けない」という誤解を正し、本人・周囲にとって最適な就労への道を専門医が示す。 第1章 止まらない仕事のミスと対人関係の問題 第2章 ADHDをめぐる誤解――職場でどう接するか 第3章 ASD(自閉症スペクトラム障害)をめぐって 第4章 仕事とNeurodiversity 第5章 ADHDは治せる 第6章 ASDを治す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
31
発達障害の成人の多くは働く社会人という現状を踏まえて、発達障害の人は働けないという誤解を正し最適な就労への道を専門医が示す一冊。社会人の止まらない仕事のミスと対人関係の問題は、実は発達障害が原因であることも多く、高学歴であっても職場で相互理解ができなかったり、家庭で問題が生じたりすることもある。実際の症例や事例を紹介しながら解説していて、やはりその解決にはまず正しい自覚と適切な対処が必要で、その上で周囲の理解と協力も必要ですね。治るかどうかは何ともな気がしましたけど、改善する手段はありそうな気がしました。2023/10/23
ごへいもち
17
八方ふさがり…。高い能力を持っていてもそれを活かせないどころか辛い人生を過ごさなくてはならないなんて😢2023/11/10
chietaro
11
例が多くてわかりやすかったです。個人の能力をいかせる職場だと、機能すれば職場全体も飛躍しそうな気がするのですが、どうしても苦手な部分や課題に目がいきがちです。得意を伸ばす社会を創ることは難しいのでしょうか?2023/12/15
Janjelijohn
10
些細なミスを繰り返してしまい、上司から叱責される。それがストレスとなり、更にパフォーマンスが下がってしまう。結果信用も失い、人間関係も悪くなる。ADHDやASDの方の事例が紹介されてあり、自分にも思い当たることがあったので、他の方はどのように問題を乗り越えたり、対峙しているのか気になり読み進めた。今でこそ、ADHDという言葉の知名度もあがってきているが、まだまだ社会で苦しむ人は大勢いるということは想像に難くない。このような本が社会のあらゆる立場の人に読まれ、誰もが生きやすい世の中になればいいと思った。2023/11/02
タイ
6
図書館本。今のところ一番自分にとってまともそうな本だった。前半は本名通り職場でおかしいと感じて精神科へ行き診断を受けたという人の話。実際にも自分も同じ流れではある。また、鬱や適応障害などの誤診からの発達障害診断もあったりするそうな。自分は二次障害発生してそうな気もしてますが。例に出てきた方々は、復帰したり障害者枠であったりするが大元としてはどうにも仕事のミスマッチが健常者以上に実害が出ているように思える。思いたいだけなのかもしれないが。また職場の「茶番」に付き合えとあった。自分はおそらく態度に出ていたかも2025/07/27




