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内容説明
西洋の食文化を日本に伝え、多くの名料理人を育ててきた稀代の料理研究家「辻静雄」。
生誕80周年・没後20年にあたるメモリアル・イヤーに、復刊された名著全7巻。題して<辻静雄ライブラリー>。
フランス政府から外国人としてただ一人、フランス料理界に貢献した最高の料理人に贈られる「MOF(フランス最優秀職人)名誉賞」を与えられた著者。
日本に本物のフランス料理を紹介し、また世界に日本料理を知らしめた辻静雄がいたからこそ、日本人の「食」は豊かで喜びに満ちたものになったとも言われる。その数多くの著作の中から、選りすぐりの7巻を編む選集です。
第3弾『エスコフィエ』は、現代フランス料理の出発点に位置する偉大なる料理人、エスコフィエの生涯を、意外なエピソードや当時のメニューを織りまぜ、その実像に迫る伝記の名著です。
▼内容
ヴィルヌーヴ・ルーべ村/ル・プティ・ムーラン・ルージュ/普仏戦争と捕虜収容所/再びル・プティ・ムーラン・ルージュ/リッツとの邂逅/モンテカルロ/ユルバン・デュボワの激励/リッツとサヴォイのころ/キッチンの改革/エスコフィエの功績/エスコフィエとカレーム/プラス・ヴァンドーム/カールトン・ホテル、倫敦/『ル・ギッド・キュリネール』/晩年 ほか 解説 鹿島茂
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
13
図書館本。フランス料理界の伝説の人エスコフィエ(1846-1935)の伝記。わずか198ページの本なので紹介内容がかなりあっさり気味だが、エスコフィエに寄せる著者の尊敬の念が行間から伝わってくるのがいい。「エスコフィエの功績」「カールトン・ホテル、倫敦」の二つの章が特に面白い。エスコフィエは二十代のころ、普仏戦争で捕虜になるなど苦労したようだが、そのときにも創意工夫をして頭角を現したようだ。本書の随所にエスコフィエのメニューが挿入されているが、どれもフォントが美的に美しいのがいかにもフランス風である。2016/02/03
富士さん
5
フランス料理人オーギュスト・エスコフィエの辻調理師専門学校の創設者による伝記。エスコフィエという人は、フランス料理に分業と計量化を導入し、ホテルという新しいメディアを使って、女性客へのアプローチや絶え間ない新メニューの開発で新たな消費を積極的に開拓した、同時代におけるデパートのブシコー夫妻に比すべき、近代の発現者と言ってもよい人であるように思います。本書は本人の自伝ではテーマとされていない、そのような特徴がよく分かるように描かれています。2018/06/28
回天アセロラ
4
「なによりもまず簡潔につくりなさい」手順を能率的にすれば料理は美味になる。それは、なぜここでこんなことをするのか、なぜこの材料が必要なのか、の見極めがきちんとできているからである。フランス料理の礎を築いたエスコフィエの生涯を知れてつくづくすごい人だなと感じた。2018/09/18
れどれ
3
ときに神話の住人めいた扱いでその名が謳われる伝説の料理人エスコフィエ、天才の突飛な逸話ばかりが並ぶかと思いきや彼を彼たらしめる境遇の足取りまでを広めの観点から追ってくれる本だった。モンテカルロの文化的成り立ちからホテル王リッツとの電気交流などさながら料理を至高に仕立てるため凝らしぬかれた膳立てのごとく美しい。伝記はミクロな視点でも成り立つがこの巨人はたしかにマクロな視点でこそその異彩が、偉才が、異才がきわだつ。2018/07/21
iqo720
0
名前しか知らなかったエスコフィエの人となりがよくわかる。料理人というよりも、人間エスコフィエの魅力が溢れている。ここまで引き出せるのは筆者だからだろう。主観的な描写が多いがだからこそおもしろい。何事においても一流の人は、人としても一流だということがよくわかる。2013/11/20