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内容説明
大都市の気ままな流行りや、公共事業、工場誘致に頼るのはもう終わりにしよう! それぞれの地域が持つ財を利用し、住民の創意を生かした活動をしない限り、経済的発展はない! かつてのベネチアのように、必要なものを自らの手で作り、近隣地域と共生的な交易を行えば、技術は高まり、雇用も生まれ、地域は自然と活性化する。アメリカで大規模再開発により街が「死んで」いく過程を観察したジェイコブズは、街や地域が生み出すダイナミズムに注目、経済が発展・衰退する鍵を、古今東西の無数の例から探り出した。地域が自立するための処方箋を描いた先駆的名著。
目次
日本語版への序文/第1章 愚者の楽園/第2章 現実にたちもどって/第3章 都市地域/第4章 供給地域/第5章 労働者に見すてられる地域/第6章 技術と住民排除/第7章 移植工場地域/第8章 都市のない地域に向けられた資本/第9章 取り残された地域/第10章 なぜ後進都市は互いを必要とし合うのか/第11章 都市への誤ったフィードバック/第12章 衰退の取引/第13章 苦境/第14章 漂流/謝辞/原註/訳者あとがき/解説 ジェイコブズ経済学とその実践(片山善博)/解説 ジェイコブズ経済学の現在的意義(塩沢由典)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
43
この作者のような考え方というのは一考に値すると思います。日本も昔はもっと地方を活発化する動きがあったのですが、最近は大都市集中型になってきています。また元鳥取県知事が解説で書かれているのですが本当に地方に資する投資というものはどのようなものかを考ええる必要があるといわれています。道路をつくっても、大企業が潤い、地方に落ちるお金はスズメの涙でその場限りの投資です。昔の大分県知事のやり方などをもう1回見直す必要があるのでは?2015/03/19
Uzundk
12
発展しているのは国家ではなく、国内の諸都市なのである。なぜ発展するのかなぜ衰退するのか、そもそも起こりえないはずのスタグフレーションが起こるのはなぜかと経済学者が右往左往する中、考え方の枠が間違っているのだとばっさり斬って都市間の交易、輸入代替、都市を中心とした発展で経済を語る。輸入輸出だけではその土地にほとんど影響を及ぼさず、インプロビゼーション(交易などが自然発生する環境)の土壌がなければ発展し得ないと言うのは様々なレイヤーで体感しており大変納得できる話だった。2015/09/26
雲をみるひと
9
80年代に書かれた経済学の解説書。当時の視点なので、多様化された都市が成長のエンジンで、生産移管や移出人の効用と言った実体経済からの記載が大半。金融やITの発展と言った未来への予見に関する記載はない。実例を交えた詳細な分析がなされていて参考になる。2020/04/27
ハパナ
9
独断と偏見で、この本のミソに感じた所がありました。メモ: ”成功に繋がる経済発展は、その本性から言って、目的指向型であるよりは修正自在型にならざるをえず、発展過程の中で、そのときの都合や経験に応じて変わっていかざるをえない。”2017/02/05
おせきはん
9
様々な地域の事例から、地域の発展には、住民が状況に応じて臨機応変に創意を働かせて共生的な関係を作り出す過程(インプロビゼーション)が重要であると説いています。一方で、必要なものを自らの手で作ることのできない地域では、生み出された財やサービスが域外に流出し、さらには、それらの地域に向けた補助金が、発展する地域の成長を削ぐ結果に終わると指摘しています。地産地消で足元を固めたうえで、都市間交易を行い「稼ぐ」ことが、衰退した地域の発展のために、まずは求められるのでしょう。地方創生のあり方を考える参考になりました。2016/10/12