ちくま学芸文庫<br> 法の概念〔第3版〕

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ちくま学芸文庫
法の概念〔第3版〕

  • ISBN:9784480096487

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内容説明

法とは何か。それは単なる命令とどう異なり、道徳や慣行といかに関わるのか。なにゆえ法は、私たちを従わせる規範としての力をもつのだろうか。こうした難問をめぐって有力に唱えられてきた主権者命令説や自然法論はいずれも十分でない。法の特質は、人々の行動を方向づける一次ルールと、何がルールかについて定める二次ルールとの組み合わせとして理解されねばならないのだ。1961年に初版が刊行された本書は、このような革新的な視点を打ち出すことで法哲学のあらたな地平を切り拓き、分野を越えて巨大な影響を及ぼした。初版への批判に応えた「後記」をも含む改訂版を、平明な新訳でおくる。

目次

初版はしがき/第2版編者はしがき/第3版編者はしがき/第I章 執拗な問いかけ/第1節 法理論の難解さ/第2節 繰り返される三つの論点/第3節 定義/第II章 法、指令、命令/第1節 命令法の各種/第2節 強制的命令としての法/第III章 法の多様性/第1節 法の内容/第2節 適用範囲/第3節 成立様式/第IV章 主権者と臣民/第1節 服従の習慣と法の継続性/第2節 法の持続性/第3節 立法権の法的制限/第4節 立法府の背後の主権者/第ⅤV章 一次ルール、二次ルールの組み合わせとしての法/第1節 新たなスタート/第2節 責務の観念/第3節 法の基本要素/第VI章 法秩序の基礎/第1節 認定のルールと法的妥当性/第2節 新たな問題/第3節 法秩序の病理学/第VII章 形式主義とルール懐疑主義/第1節 法の綻び/第2節 多様なルール懐疑主義/第3節 裁判の最終性と不可謬性/第4節 認定のルールの不確定性/第VIII章 正義と道徳/第1節 正義の諸原理/第2節 道徳的責務と法的責務/第3節 道徳的理念と社会的批判/第IX章 法と道徳/第1節 自然法と法実証主義/第2節 自然法の最小限の内容/第3節 法的妥当性と道徳的価値/第X章 国際法/第1節 疑念の源/第2節 責務と制裁/第3節 責務と国家の主権性/第4節 国際法と道徳/第5節 形式と内容の類似性/後記/序/1 法理論の性質/2 法実証主義の性質/3 ルールの性質/4 原理と認定のルール/5 法と道徳/6 司法的裁量/解説(レスリー・グリーン)/注/訳者あとがき/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

24
オースティンの法命令説を批判的に検討し、法には命令以外にも役割があることを示す。法の中核には一次ルールと二次ルールがあり、二次ルールの究極の根拠は法律家がそのルールを受容することにある。ここから法律と道徳の必然的連関は切断され、ただ偶発的な重なりがあるのみとなる。イギリスの法哲学者ということで日常言語学派の影響を受け、抽象論でなく言葉の使い方の分析や日常生活に根付いた法から議論が始まる。ただし、解りやすいかといえば、やはり難解な一冊だろう。2016/08/06

壱萬参仟縁

23
3版は’12年初出。服従の習慣と法の継続性(098頁~)。服従は威嚇に支えられた命令通りに行動し、権威への敬譲をも示唆する。服従するということばは、裁判官が法秩序の認定ルールを適用してある成分規定を妥当な法として認定し、紛争の解決にあたってそれを使用したとき、彼がしたことを適切に描写してはいない(186頁)。すべての人の福利を同様に促進したり、すべての人にとって同様に好ましい社会改革や法はごくわずか(264頁)。権力の公的な濫用を明晰に直視し対決するために必要なのは、 2015/01/13

はっせー

19
10日間かけて読み終わりました! 内容は法実証主義の系譜に属するハートさんの考えをまとめたものです! かなり難しい内容であり、この内容を理解するにはかなりの法学の本を読まないといけないなって率直に思いました! 特に法と道徳といった内容はソクラテスの弁明に出てくる悪法もまた法なりという考えを出発点にしている なので法哲学を勉強するときにもこの本は重要だと考えました!2018/12/03

ハイちん

16
「どうして法律(ルール)を守らなくてはいけないのか」という問いに関する本として読んだ。法律の遵守に関して了承しているものの、なんで? と言われると答られない。ホッブズは「万人による戦争状態を避けるには、主権者による統御と国民の臣従が必要だから」と答え、ぼくもそれで納得していたが、それだけでは説明できない事態もあること、ナチスの法のように道徳に反する法も存在しうること、ルールを受容する者とルールを観察するものは根本的に立ち位置がちがうが、それでもルールのもとに共存可能であるという見解を本書は示してくれた。2016/08/10

孤独な読書人

6
かなり難しい。再読の必要性あり。2017/11/08

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