内容説明
法とは何か。それは単なる命令とどう異なり、道徳や慣行といかに関わるのか。なにゆえ法は、私たちを従わせる規範としての力をもつのだろうか。こうした難問をめぐって有力に唱えられてきた主権者命令説や自然法論はいずれも十分でない。法の特質は、人々の行動を方向づける一次ルールと、何がルールかについて定める二次ルールとの組み合わせとして理解されねばならないのだ。1961年に初版が刊行された本書は、このような革新的な視点を打ち出すことで法哲学のあらたな地平を切り拓き、分野を越えて巨大な影響を及ぼした。初版への批判に応えた「後記」をも含む改訂版を、平明な新訳でおくる。
目次
初版はしがき/第2版編者はしがき/第3版編者はしがき/第I章 執拗な問いかけ/第1節 法理論の難解さ/第2節 繰り返される三つの論点/第3節 定義/第II章 法、指令、命令/第1節 命令法の各種/第2節 強制的命令としての法/第III章 法の多様性/第1節 法の内容/第2節 適用範囲/第3節 成立様式/第IV章 主権者と臣民/第1節 服従の習慣と法の継続性/第2節 法の持続性/第3節 立法権の法的制限/第4節 立法府の背後の主権者/第ⅤV章 一次ルール、二次ルールの組み合わせとしての法/第1節 新たなスタート/第2節 責務の観念/第3節 法の基本要素/第VI章 法秩序の基礎/第1節 認定のルールと法的妥当性/第2節 新たな問題/第3節 法秩序の病理学/第VII章 形式主義とルール懐疑主義/第1節 法の綻び/第2節 多様なルール懐疑主義/第3節 裁判の最終性と不可謬性/第4節 認定のルールの不確定性/第VIII章 正義と道徳/第1節 正義の諸原理/第2節 道徳的責務と法的責務/第3節 道徳的理念と社会的批判/第IX章 法と道徳/第1節 自然法と法実証主義/第2節 自然法の最小限の内容/第3節 法的妥当性と道徳的価値/第X章 国際法/第1節 疑念の源/第2節 責務と制裁/第3節 責務と国家の主権性/第4節 国際法と道徳/第5節 形式と内容の類似性/後記/序/1 法理論の性質/2 法実証主義の性質/3 ルールの性質/4 原理と認定のルール/5 法と道徳/6 司法的裁量/解説(レスリー・グリーン)/注/訳者あとがき/索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
壱萬参仟縁
はっせー
ハイちん
孤独な読書人