集英社学芸単行本<br> フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~

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集英社学芸単行本
フェミニスト紫式部の生活と意見 ~現代用語で読み解く「源氏物語」~

  • ISBN:9784087817447

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内容説明

平安文学研究者出身の作家・奥山景布子が、「フェミニズム」「ジェンダー」「ホモソーシャル」「おひとりさま」「ルッキズム」など、現代を象徴するキイワードを切り口に「源氏物語」を読み解く。そこに浮かび上がってきたのは、作者・紫式部の女性たちへの連帯のまなざしだった。時空を超えて現代の読者に届くメッセージ――希望ある未来へとバトンを繋げる新解釈。著者初の古典エッセイ。

<目次>
はじめに 「サブカル」、そして「ジェンダー」「フェミニズム」――紫式部の追究した「人間の真実」
第一講 「ホモソーシャル」な雨夜の品定め――平安の「ミソジニー」空間
第二講 「ウィメンズ・スタディズ(女性学)」を古典で――「女の主観」で探る夕顔の本心
第三講 ほかの生き方が許されない「玉の輿」の不幸――「シンデレラ・コンプレックス」からの解放
第四講 「サーガ」としての「源氏物語」――光源氏に課せられた「宿命」と「ルール」
第五講 「境界上」にいる、破格な姫君・朧月夜――「マージナル・レディ」の生き方
第六講 宮家の姫の「おひとりさま」問題――桃園邸は平安の「シスターフッド」?
第七講 「教ふ」男の「マンスプレイニング」――紫の上の孤独な「終活」
第八講 「都合の良い女」の自尊心――花散里と「ルッキズム」
第九講 平安の「ステップファミリー」――苦悩する母たちと娘の「婚活」
第十講 宇治十帖の世界と「男たちの絆」――「欲望の三角形」が発動する時
第十一講 薫の「ピグマリオン・コンプレックス」――女を「人形」扱いする男
第十二講 「自傷」から「再生」へ――浮舟と「ナラティブ・セラピー」
おわりに 古典を現代に

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

71
2022年に角田訳源氏の上巻、今年(2024年)中巻・下巻を読んだ。読了にあたってはこの本とドラマの映像に助けられた。奥山さんは式部が「現代のフェミニズムに近い感覚」を持っていたと前書きに書き、私は最初半信半疑だったが、女の生き辛さが克明に描かれた宇治十帖を読んでその説に深く肯いた。奥山さんはテキストを丁寧に読み、読者である私が違和感を感じた箇所を巧みに掬い上げて論じ、面白い。宮中の女房として、光源氏の色好みと栄達を華やかに描く式部もいたが、浮舟の暗い心理を突き詰める式部もいたということだろう。→ 2024/11/26

とよぽん

46
もっと紫式部の人物像とか生き方に言及してくれるのかと思ったが、そうでもなく。確かにフェミニストの要素はあっただろうが、平安時代の最高の貴族に接する仕事や小説執筆の生活から筆者が読み解いたこと・・・書名と内容が合っていないように感じた。まぁ、いずれにせよ鬼才の女性であったことは確かだ。2023/12/10

sofia

36
本の題名は難しいけれど、とてもおもしろかった。私の「源氏物語」について悶々と思っていること(文章能力なし)を活字化されていて「そうそう」とうなずいた。時代は違うが、光源氏は夕顔に対して死体遺棄だし、紫の上には誘拐と不同意性交罪。今回読んで見方が変わったのは朧月夜と花散里。人を人として見ない薫観はうんうん。奥山さんの源氏物語講座に通いたい。原文は読めないけど、こういう解釈の本はおもしろい。2024/01/16

くるぶしふくらはぎ

22
昭和、平成と女性を巡る「不適切にほどがある」案件は、令和になって徐々に減少傾向とはいえ、まだまだ途上。で、本書ですが、あらま、紫式部さんとは平安時代からなんと先見の明があったことかと思える記述が「源氏物語」には散見してたんですね。女性蔑視発言をする高級イケメンお坊ちゃんたち、女性を政略の道具としか見ない男社会、説教大好きモラハラおじさん、それは普通のことで女性は守られる存在だと受容しながらも物語を通して「なんか変よね」と言い続け、当時から現在に至るまで女性にエールを送っていたのか。凄いぞ。2024/03/31

ちょこ

16
『源氏物語』を読み解く本。『光る君へ』が絶好調に面白いので『源氏物語』に触れときたいなあと思って手に取ってみた本。『源氏物語』は学生時代に読んだことはあったが薄らぼんやりとしか覚えてないので復習にはなったかな。新たな解釈を加えての解説本なので意見が分かれるとこにはなるかと思うがこういう読み解き方も興味深いなとは思った。2024/04/11

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