内容説明
1631年、戦乱の嵐吹きすさぶヨーロッパで、〈軍犬〉の異名を持つ歩兵軍団長ウルリッヒ・フォン・ベック伯爵は、あるとき不思議な城にただひとり迷いこんでしまった。そこで美女サブリナの歓待を受けたのち、城主と対面したウルリッヒは愕然とした。その城主こそ、地獄の王ルシファだったからだ! やがて神との和解を望む堕ちた天使ルシファと盟約を結んだウルリッヒは、世界の痛みを癒すという〈聖杯〉探索の旅にでるが……!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
拓也 ◆mOrYeBoQbw
16
ファンタジー長篇。フォン・ベック・シリーズ第一巻。ヨーロッパの十七世紀、三十年戦争の時代に主人公のフォン・ベックがルシファーの指令で聖杯探索を行う”キリスト教懐疑論”的な物語。ムアコック作品は初期作品、人気シリーズいずれも『運命決定論+悲劇』のスタイルが多かったのですが、このフォン・ベック・シリーズからムアコックの作風が変化する一つの分水嶺となっています。著者が前書きで書いているように、様々な冒険小説からの影響が所々見られ、ムアコックファンじゃなくても読み易い作品だと思います~(・ω・)ノシ2015/12/11
スターライト
10
ヨーロッパの三十年戦争の時代に、戦いに倦んだウルリッヒ・フォン・ベックが「世界の痛み」を癒すため、聖杯を求めてさまよう。〈永遠の戦士〉の物語では、「法」と「混沌」、そして「天秤」が世界のあるいは宇宙の秩序を表わすのに用いられるが、本書ではさしずめ「天国」と「地獄」がその役割を担い、「天秤」には「聖杯」が対応するようだ。人生にとって幸せとは、を考えさせる物語ともとれるが、巻末解説はネタバレのところもあるので、最後に読んだ方が吉。2014/06/19
眠る山猫屋
9
永遠のチャンピオンのひとり、フォン・ベック。17世紀・三十年戦争下のドイツ、虐殺にうんだ彼は、生命の兆しの無い森で古城を見つけ、そこで絶世の美女と堕天使に出逢う… ルシファの願いを受け、聖杯探索に赴く。 疑り深い主人公が秀逸。常に最悪を想定してしまいながら、希望を信じて旅する彼の運命は…永遠のチャンピオンにしては、ハッピーエンドなのがホッとする。宿敵クロスターハイムも哀れな敵役で登場。個人的には今回、主人公を助けるロシア人剣士セデンコが良かった。偏見だらけのイタズラ小僧。人間臭くていい。2011/09/27
旗
7
岡和田晃さんのツイートを見て購入。面白かった。https://twitter.com/orionaveugle/status/235646153885097984 https://twitter.com/orionaveugle/status/235648185350098944 三十年戦争の最中、傭兵は聖杯探索の旅へ。現実と同じくケルト神話とキリスト教の融合具合が実に巧みで、ムアコックの達者さに舌を巻く。主人公=探索者であるフォン・ベックの視点と語り口が魅力的だった。2012/11/25
冬至楼均
6
一応永遠の戦士に含まれてはいますが、やはり四戦士とは雰囲気が違う。2015/05/09