この世界からは出ていくけれど

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この世界からは出ていくけれど

  • ISBN:9784152102683

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内容説明

人より何十倍も遅い時間の中で生きる姉への苛立ちを抑えられない妹の葛藤を描く「キャビン方程式」、幻肢に悩まされ三本目の腕の移植を望む恋人を理解したい男の旅路を追う「ローラ」――社会の多数派とそうなれない者とが、理解と共存を試みる人生の選択7篇

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やも

79
この本2640円。いつもなら本には出さない値段だけど、【わたしたちが光の速さで進めないなら】を読んで速攻で注文。この著者さんは天才だよ。もうすぐ世界規模で流行るんじゃないかな。【わたしたいが〜】よりも更にもう1段、広さよりも深さを求めたような。宇宙って単位の大きさから、人の脳の中も広いんだ、みたいな。人間の肉体の機能がアップデートされたらどうなるんだろう?同じ世界に生きているけど、違う景色を見る切なさ。そんな中で感じる同じ気持ち。希望。生きる孤独と喜びってどの世界でもあるのかも。ワクワクよりも切なさ多め。2024/12/10

愛玉子

41
隣にいるのに、こんなにも遠い。私たちが感知しているのはごく狭い範囲の世界に過ぎず、その世界を他者と共有することなど出来はしない。私たちは全き孤独な存在だ。その哀しみともどかしさと諦めと、でも、だからこそ、世界がほんの僅か触れ合い、重なり合った瞬間が美しくも切なくきらめく。どこか黄昏時のようなさみしさを湛えた穏やかな文章は、銀河の果てまでも私たちを連れていくのだけれど、そこに描かれた思いはとても見覚えがあって、心を柔らかく引っかいていく。どの短編も良かったけれど、切なくてあたたかい『最後のライオニ』が好き。2023/12/01

あおでん@やさどく管理人

34
「砂漠の隅っこで帽子をかぶっている靴下が見つかった」◆"感覚"がテーマになったSF短編7作。感覚が全く異なる相手とのコミュニケーションは困難だ。でも、最低限相手に危害を与えずに、理解しようと努めて接していれば、思いが伝わる瞬間、伝わったとわかる瞬間がある。そんな瞬間の訪れを掬い上げた物語たち。2023/09/26

くさてる

29
韓国の作家によるSF短編集。どこか懐かしい、馴染みがあるような世界と、描かれる人間関係の切なさが、良かった。自分とは異なる存在とのディスコミュニケーション、対話と相互理解の難しさが、押しつけがましくないテーマとして響いてくる。良かったです。2024/08/22

R子

29
SF短編7本を収録。邦題からしてとても素敵だ。人は“感覚バブル”によって世界を認知していて、だから同じ場所に暮らし、同じ景色を見ていても、感じることはそれぞれ違う。多くの人が見ている世界が、自分には見えないこともある。それは間違いではないし、同じように見える必要もない。それでも他者との感覚に大きなひらきがあれば、意思の疎通に問題が生じたり、コミニティから外れたりしてしまう。その哀しさと歯痒さが、どの短編にも滲んでいた。「ローラ」「古の協約」がとりわけ好み。2024/01/14

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