内容説明
僕は地元のラジオ局で深夜の番組を担当している。ある日、17歳の時に絵のモデルをしたことを話したところ、リスナーから、僕によく似た肖像画を見た、と葉書が届く――。土曜日のハンバーガー、流星新聞、キッチンあおい、行方不明の少年、多々さん、鯨オーケストラ――すべてが響きあって、つながってゆく。小さな奇跡の物語がここに終わり、ここから、また始まる。『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』そして――。静かに心が共振する、希望の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
139
安らぐ一冊。言葉と人との響き合い、過去からのつながりとこれからの始まりを描いた流星シネマ完結編は、どこかすぐそばに本当に存在するような町の営みの中に心を寄せられて、ハッとする数々の言葉が違和感なく水のように自然にスッと沁み込んでくる心安らぐ心地よさ。過去は時に人を縛り、時に背中を押すものなのかも。その過去をきちんと積み重ね向き合う大切さを感じ、物語の中の誰もの始まりの音を想像すると同時にちょっぴり淋しさも。「人は皆、未来に旅をする」なんて優しく背中を押す言葉だろう。まさに言葉が奏でる安らぎのメロディ物語。2023/04/30
けんとまん1007
134
本を手に取った瞬間から、吉田さんの世界が広がる。何故だろう・・と、いつも思う。本が醸し出す空気感なのかもしれない。手触り、重さ、装丁、文字のフォントなどなど。五感を総動員して読むのが、いつも。静かなな物語が紡がれているのも、いつものこと。人は、時間軸でも、空間軸でも、いろいろな人・場所と繋がっている。そして、迷いを持ちながら、1日1日を過ごしていくこと。その大切さを感じる。2023/05/18
シナモン
111
「流星シネマ」からつながる三部作の三作目。 迷い込んだ鯨、流された少年ー川の思い出を回収するように今までの登場人物たちがゆるやかにつながっていく。カチッとピースがはまるようなつながり、ちょっとのずれでつながらなかったつながり。さまざまな人間模様に人生の味わい深さを感じた。 やはり吉田篤弘さんの作品は自然に読むスピードが遅くなる。大事に大事に読みたくなる。静けさが本当に心地良い。2025/03/11
nico🐬波待ち中
89
『流星シネマ』『屋根裏のチェリー』に続く大好きなシリーズもいよいよこれで完結。お馴染みの人たちが徐々に繋がって、穏やかで優しい世界が広がっていく。相変わらず心に響くセリフが多くて何度も泣きそうになった。物語の展開に喜ぶ反面、これでみんなと会えなくなると思うととても寂しい。けれどこれは終わりではなく、新たな始まり。大好きな懐かしい人たちが、そっと静かに始める物語を噛みしめつつ、心地よい余韻にこのままいつまでも浸っていたい。やっぱりこの世界観が好き。後日談でもいいのでみんなのその後の物語もぜひ描いてほしい。2023/04/15
あんこ
83
久しぶりに吉田篤弘作品を読みました。音楽、食堂、映画館、コーヒー、犬。読みながら、散りばめられたモチーフを拾い集める内に「ああ、これだ」と懐かしい感覚が蘇りました。吉田さんの描く小さな街とその中で過ごす人達は穏やかで、現代の喧騒から逃れたい時にこのような物語があると心の平穏が保てます。ミニチュアの優しい世界は、今こそ必要だなーとくさくさした心を凪いでくれました。2024/06/19
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