内容説明
現代文学の最前線に立つ姉弟の対話
ロシア文学者・奈倉有里と、小説家・逢坂冬馬。
文学界の今をときめく二人は、じつはきょうだいだった!
姉が10代で単身ロシア留学に向かった時、弟は何を思ったか。その後交差することのなかった二人の人生が、2021年に不思議な邂逅を果たしたのはなぜか。予期せぬ戦争、厳しい社会の中で、我々はどう生きるのか?
縦横無尽に広がる、知性と理性、やさしさに満ちた対話が一冊の本になりました。
◇目次◇
はじめに――逢坂冬馬
PART1 「出世しなさい」がない家 Family
PART2 作家という仕事 Literature
PART3 私と誰かが生きている、この世界について World
おわりに――奈倉有里
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
101
姉はロシア国立ゴーリキー文学大学に留学して、ロシア文学研究・翻訳者となった名倉有里。弟は『同志少女よ、敵を撃て』で作家デビューした小説家の逢坂冬馬。この二人の姉弟対談。幼少期の成育環境、作家という仕事、創作でつながる世界について語る。言葉を大事にして発し続ける二人の考え方がわかって面白い。「そんなに本を読んでなんになるの?」と聞かれることに逢坂は、それって功利主義そのものの考え方だろうといい、読むと必ず世界が拡張するし、なぜ「好きなことを楽しむ」ことに存在意義を認めないのかと言っている。→2024/12/23
ベイス
99
奈倉さんの学問に向かう姿勢が好きで、逢坂さんの歴史に向き合う姿勢が好きで、何よりお二人が書く文章が好きで、しかし対談なのでさてどんなテーマをどんな言葉遣いでされるのかと興味津々。結果、ストンと腹に落ちた。まず社会への眼差しが良い。二人の醸し出す空気感が良い。反戦を語る弟、そこまで直接的な表現はせず読者に委ねる姉、そのバランスが良い。特に姉の奈倉さんは、非常に丁寧な行き届いた文章を書かれるが、語り口も選ぶ言葉が正確というか、嘘や虚偽が混じらないようにという誠実さが話し言葉からも感じられて益々ファンになった。2024/02/19
ナミのママ
80
1冊分の本の話ができるとはまさに「文学キョーダイ‼︎」うらやましすぎる。ロシア文学者・奈倉有里さんと小説家の逢坂冬馬さんは3歳違いの姉弟。3章からなる本作、part1は家族と子供時代から始まり、絵本コミックから夢中になった本まで。子どもにとって家庭環境の影響は大きいと改めて感じる。part 2は翻訳家と作家に至る経緯と食べていくことについて。芯のある考え方に驚きを感じ、書いちゃうんですね?と思う本音もあり。part 3は戦争、歴史、思想もあり私には少し難解。もう少し知識を増やして再読してみたい。2023/11/14
榊原 香織
71
”夕暮れに夜明けの歌を”の著者と”同志少女よ、敵を撃て”の作者が姉弟なんて、ビックリ。 ロシア・ウクライナ話題は当然だが、ジブリ的育ちなども、興味深くも面白かった。 弟君が圧倒的にしゃべっていたような気がする 対談。2023/11/02
TATA
65
奈倉さんと逢坂さんが姉弟とは知らなかったのですが、なるほど同じ要素を激しく持っていることがよく分かりました。戦争に対する思い、読書の大切さ、そんな会話を二人でできることが心底羨ましく感じます。逢坂さんがどういった思いで「同志少女」を書かれたのかというあたりも必読ですねえ。私、奈倉さんの訳書は2冊読んだのですが逢坂さんは未読なので、遅ればせながらぜひ読まなきゃなと。2023/12/12
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