海外引揚の研究 - 忘却された「大日本帝国」

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海外引揚の研究 - 忘却された「大日本帝国」

  • 著者名:加藤聖文
  • 価格 ¥5,940(本体¥5,400)
  • 岩波書店(2023/09発売)
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  • ISBN:9784000614344

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内容説明

植民地や占領地に暮らしていた三〇〇万人を超える民間人の引揚経験は,戦後長らく忘却・封印されてきた.国内外の一次資料を用いた国内・国際の政治要因からの実態解明と,引揚者の手記や聞取り調査などを用いた戦後社会と引揚者との関係解明とをあわせ行い,海外引揚の全容と,日本の脱植民地化の特質を明らかにする.

目次

序章 海外引揚研究の意義
第1節 問題の所在
第2節 海外引揚研究の現状
第3節 本書の構成と狙い
第1章 「大日本帝国」の崩壊と海外引揚問題の発生
問題提起
第1節 ポツダム宣言受諾と現地定着方針
第2節 東久邇宮内閣と残留日本人引揚問題の迷走
第3節 米国の対中政策転換と残留日本人引揚の実現
小括
第2章 満洲国崩壊と在満日本人引揚問題──満洲
問題提起
第1節 ソ連参戦をめぐる関東軍・日本政府の迷走
第2節 ソ連軍占領下の在満日本人社会の混乱
第3節 定着と引揚のあいだ
第4節 国民政府軍の進駐と在満日本人送還の開始
小括
第3章 引揚体験にみる脱植民地化の特異性──台湾・中国本土
問題提起
第1節 平穏な「敗戦」下の台湾
第2節 台湾社会の混乱と引揚の開始
第3節 支那派遣軍の降伏と戦争責任
第4節 台湾引揚者団体の結成と戦後日台関係
小括
第4章 ソ連の北東アジア政策と日本人引揚問題──大連・北朝鮮・南樺太
問題提起
第1節 ソ連軍政下の日本人労働組合と大連引揚
第2節 朝鮮半島の分断と北朝鮮引揚問題
第3節 ソ連の南樺太領有と樺太引揚
小括
第5章 救護から援護へ──京城日本人世話会と引揚者団体
問題提起
第1節 京城日本人世話会と南朝鮮引揚
第2節 在外同胞援護会救療部にみる引揚者応急援護活動の展開
第3節 引揚定着援護事業への転換と引揚者団体の変容
小括
第6章 引揚体験の記憶化と歴史認識──満洲引揚者の戦後史
問題提起
第1節 個人のなかの満洲体験──高碕達之助と平島敏夫
第2節 「満洲」と「満洲国」をめぐる歴史認識──『満州開発四十年史』
第3節 「敗者」と「勝者」の歴史認識──『満洲国史』
第4節 悲劇と怨嗟の歴史認識──『満洲開拓史』
小括
第7章 慰霊と帝国──表象された引揚体験
問題提起
第1節 引揚港をめぐる記憶と表象
第2節 引揚犠牲者をめぐる「殉難」と「慰霊」
第3節 樺太引揚にみる「故郷」と「異郷」
小括
終章 「大日本帝国」の清算と東アジアの脱植民地化
総括と展望
第1節 未完となった「大日本帝国」の清算
第2節 第二次世界大戦によるユーラシア大陸の民族変動
第3節 戦後世界の脱植民地化と国民国家再編
海外引揚研究の可能性──一国史を超えて

あとがき
資料文献一覧
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ポルポ・ウィズ・バナナ

1
◎植民地喪失で他民族との日常的な接触機会が激減、日本社会の単一民族性が強調されたため戦前よりも他民族支配の感覚的理解力が極度に低下◎台湾引揚は日帝との軍事バランスから非常にスムーズ。それが現在の台湾観、ひいては台湾における反共に基づいた中国観に繋がるが、それは政治的リアリズムに依るものではなく感傷的なもの◎樺太からの引揚者の35%は郷里との繋がりが途絶えた無縁故者。その多くが北海道および東北六県に定着。ソ連は日本人を残留させる方向だったが同時にウクライナからの強制移住も行っている。 2021/12/31

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